本記事は医学的情報提供を目的としており、診断を確定するものではありません。症状について気になる場合は必ず医療機関にご相談ください。
「めまいがする…もしかして脳の病気?」 めまいは多くの人が経験する症状です。不安になるのも当然ですが、 統計的に原因の多くは耳の病気・疲労・ストレスなど比較的軽いものです。

しかし、まれに脳腫瘍など脳の病気が原因でめまいが起こることもあります。 大切なのは「どんな種類のめまいか」「他にどんな症状が伴っているか」を見極めることです。
この記事でわかること:
  • 脳腫瘍によるめまいの3つの特徴
  • 普通のめまいとの違い(比較表付き)
  • すぐに病院へ行くべきサイン
  • めまいがあるときの対処法

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ZUN

理学療法士 × 脳腫瘍グレード3サバイバー

医療者として、そして患者として、両方の視点から脳腫瘍と向き合う方とそのご家族に、少しでも安心できて役立つ情報を届けられるように心がけています。

理学療法士(国家資格・2016年取得)/糖尿病療養指導士
脳卒中・整形外科・消化器・血液内科などのリハビリに従事
研修修了:呼吸器・がんリハビリ

手術・入院・リハビリ・退院後の生活を、臨床知識と実体験ベースでお伝えしています。

脳腫瘍のめまいの特徴

脳腫瘍によるめまいは、特に小脳脳幹に腫瘍ができた場合に起こりやすく、 耳の病気が原因の「末梢性めまい」とは異なる「中枢性めまい」と呼ばれます。 代表的な特徴は次の3つです。

1 ふらつき・平衡感覚の障害として現れる

小脳は体のバランスを調整する中枢です。ここに腫瘍ができると、 いわゆる「グルグル回る」感覚より、次のようなふらつき・平衡障害が前面に出ます。

  • 体がふらつき、まっすぐ歩けない
  • 立っているときや歩き始めにバランスが崩れる
  • コップをよくこぼす、細かい手の動きがうまくできない

耳のめまい(良性発作性頭位めまい症など)でよく見られる「頭を動かしたときだけ起きる」という特徴とは異なり、 姿勢や頭の向きに関係なく症状が続く点が目安のひとつです。

2 徐々に症状が悪化していく

一般的なめまいは数分〜数時間、長くても数日以内に改善することが多いですが、 脳腫瘍によるめまいは腫瘍の成長とともに以下のように変化します。

  • 数週間〜数ヶ月かけて徐々に強くなる
  • めまいの頻度がだんだん増えてくる
  • めまい止めを飲んでも症状が改善しない

「先月より今月の方が明らかにひどくなっている」という進行・悪化のパターンは 脳の病変を疑う大きな目安になります。

3 聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)によるめまい

脳腫瘍の中でも、めまいと深く関係するのが聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)です。 耳から脳へ音・バランス情報を伝える第8脳神経(前庭蝸牛神経)にできる腫瘍で、 ほとんどの場合は良性の腫瘍です。

🔶 聴神経腫瘍の主な症状

  • 片側だけの難聴(患者の約90%に見られる最も多い初期症状)
  • 片側だけの耳鳴り(じーっという高音の耳鳴り)
  • ふらつき・バランス障害
  • 顔のしびれ(腫瘍が大きくなった場合)
  • めまい感(腫瘍が大きくなると増加)

片側だけの難聴・耳鳴りは最も特徴的なサインです。 「耳が遠くなった」「片耳だけ聞こえにくい」という変化が続く場合は、 MRI検査で確認することが推奨されます。

🔍 脳腫瘍のめまい vs 一般的なめまい|違いを比較

めまいの多くは耳の病気(良性発作性頭位めまい症・メニエール病・前庭神経炎など)が原因です。 以下の比較表を参考に、症状の特徴を確認してみましょう。

比較項目✅ 一般的なめまい
(耳の病気など)
⚠️ 脳腫瘍によるめまい
めまいの種類回転する感じ(グルグル)が多いフワフワ・ふらつきが多い
頭の向き・姿勢の影響頭を動かした瞬間に強く出る姿勢に関係なく持続する
難聴・聞こえ方両耳の閉塞感や一時的な難聴片側だけの難聴が徐々に進行
めまい止めの効果比較的落ち着くことが多い飲んでも改善しないことが多い
持続時間・経過数秒〜数時間・改善することが多い長く続き、徐々に悪化する
伴う神経症状耳鳴り・難聴が中心麻痺・しびれ・言語障害を伴うことも

※ この比較表だけで脳腫瘍と判断することはできません。症状が気になる場合は必ず医療機関を受診してください。
※ スマートフォンの場合、表を横にスクロールできます。

🚨 すぐに受診すべき「危険なめまい」のサイン

次のような症状がめまいと同時に現れた場合は、 脳腫瘍や脳卒中などの重大な疾患のサインである可能性があります。 ためらわずに受診してください。

  • 突然の激しい頭痛がめまいと同時に起きた
  • 手足の麻痺やしびれが出てきた
  • 言葉が出にくい・ろれつが回らない
  • 物が二重に見える(複視)
  • 歩けないほどのふらつき・バランス崩壊
  • 意識がぼんやりする・呼びかけへの反応が鈍い
🚑 迷ったら 119番! 複数症状が重なる場合は迷わず救急を

今めまいがある場合、どうする?

まずは無理をせず安静にすることが大切です。 上記の緊急サインがある場合はすぐに救急へ。 そうでない場合は、以下の診療科への受診を検討してください。

👂
耳鼻咽喉科
耳の病気が原因のめまいを専門に診る。まず耳から原因を調べたい時に。
🏥
脳神経外科・
脳神経内科
神経症状を伴う場合や、めまいが悪化・長期化している場合はこちらへ。
🩺 受診時には「いつから・どんな時に・他の症状は?」の3点をメモしておくとスムーズです。 CT・MRIなどの画像検査で脳の状態を確認できます。 かかりつけ医に相談してから紹介状をもらう方法もあります。
📖 関連記事 【保存版】これって脳腫瘍?脳卒中・めまい症との「症状の見分け方」を徹底解説
🌿 ZUN体験談

めまいで耳鼻科に行ったらMRIを勧められた、というケースもある

私の脳腫瘍は前頭葉にできたため、めまいより「性格の変化」や「物忘れ」が先に出ていました。でも、脳のどこに腫瘍があっても、「なんとなくいつもと違う」という自分の感覚と家族の観察が早期発見の鍵になります。

PTとして患者さんを見てきた中でも、「めまいが続くから耳鼻科に行ったら、MRIを勧められて脳腫瘍が見つかった」という方は実際にいらっしゃいました。症状が続くなら、一歩踏み出して受診してください。

❓ よくある質問(FAQ)

Q 毎日めまいがあります。脳腫瘍の可能性はありますか?

A 毎日のめまいでも、原因の多くは耳の病気・自律神経の乱れ・ストレスなどです。ただし「徐々に悪化している」「片側の難聴・耳鳴りを伴う」「めまい止めが効かない」場合は、脳神経外科または脳神経内科でMRI検査を受けることをおすすめします。

Q グルグル回るめまいなら脳腫瘍ではない、と考えていいですか?

A 傾向としては「グルグル回転」は耳由来、「フワフワ・ふらつき」は脳由来が多いですが、例外もあります。聴神経腫瘍では回転性めまいが出ることもあります。種類だけで判断せず、他の症状や経過と合わせて評価することが大切です。

Q まず何科に行けばいいですか?

A めまい単独で耳の症状(耳鳴り・難聴)があれば耳鼻咽喉科。手足のしびれ・言葉の出にくさ・激しい頭痛を伴う場合は脳神経外科または脳神経内科。判断に迷うときは、まずかかりつけ医に相談して紹介状をもらうのもおすすめです。

Q MRI検査は受けたほうがいいですか?

A 症状が長引いたり進行したりしている場合、MRIは脳腫瘍の有無を確認するもっとも有効な検査です。被ばくもなく、聴神経腫瘍など小さな腫瘍も発見できます。費用や予約はかかりますが、不安が続くなら検査して安心するのも一つの選択肢です。

📝 まとめ

📌 この記事のポイント

🧠 脳腫瘍のめまいはフワフワ・ふらつき型が多く、姿勢に関係なく持続する
🧠 徐々に悪化する経過、めまい止めが効かないのが特徴
🧠 聴神経腫瘍では片側だけの難聴・耳鳴りが初期サインになりやすい
🧠 麻痺・しびれ・複視・言語障害を伴うめまいは迷わず119番
🧠 耳の症状中心なら耳鼻咽喉科、神経症状を伴うなら脳神経外科・内科
🧠 不安があるならMRI検査で確認するのも安心への一歩

めまいの「変化のしかた」に注目してください

ほとんどのめまいは耳の病気や疲労が原因で、
深刻な病気ではありません。

しかし、「徐々に悪化している」「他の神経症状を伴う」
「薬で改善しない」めまいは、脳の病気を疑うサインかもしれません。

不安があれば、ためらわずに受診してください。
早めの一歩が、あなたと大切な人を守ります。

ZUN(脳腫瘍サバイバー・理学療法士)

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📖 参考文献・参考資料

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍〈成人〉について」
    https://ganjoho.jp/public/cancer/brain_adult/about.html
  2. Mayo Clinic「Acoustic neuroma (vestibular schwannoma) — Symptoms and causes」
    https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/acoustic-neuroma/
  3. Johns Hopkins Medicine「Vestibular Schwannoma (Acoustic Neuroma)」
    https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/brain-tumor/vestibular-schwannoma
  4. National Institute on Deafness and Other Communication Disorders (NIDCD)「Vestibular Schwannoma (Acoustic Neuroma) & Neurofibromatosis」
    https://www.nidcd.nih.gov/health/vestibular-schwannoma-acoustic-neuroma-and-neurofibromatosis
  5. Yoo MH, et al.「Management of vestibular schwannoma: focus on vertigo」 Journal of Vestibular Research, 2018. PubMed Central: PMC6169458
  6. Büki B, et al.「Intracranial tumors mimicking benign paroxysmal positional vertigo: A case series」 Frontiers in Neurology, 2022.
    Frontiers in Neurology 2022
  7. 神戸大学医学部附属病院 脳神経外科「聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)」
    https://www.med.kobe-u.ac.jp/neuro/clinical/acoustic-neuroma.html
  8. National Brain Tumor Society「Signs & Symptoms of Brain Tumors」
    https://braintumor.org/brain-tumors/diagnosis-treatment/signs-symptoms/

※ 本記事の情報は医療アドバイスの代替ではありません。
症状・治療については必ず担当医または医療機関にご相談ください。

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ZUN
🩺 理学療法士|脳腫瘍サバイバー|長野県在住 2016年に理学療法士の国家資格を取得し、総合病院の急性期病棟で 脳卒中・整形外科リハビリを担当(糖尿病療養指導士/呼吸器リハ研修・がんリハ研修修了)。 2024年、悪性星細胞腫グレード3を発症。手術・放射線・化学療法を経て 現役で職場復帰。「医療者の知識」と「患者の実体験」の両方から、 脳腫瘍患者さんとご家族の力になる情報を発信しています。 詳細プロフィールは👇https://zunsyuyotaiken.com/profile/