⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と公開情報をもとに作成した情報提供記事です。制度の詳細・最新情報・自己負担額は加入している保険組合・お住まいの自治体・厚生労働省公式ページで必ずご確認ください。本記事は2026年8月施行の高額療養費制度改定を踏まえて作成していますが、具体的な金額や所得区分は今後変更される可能性があります。

「脳腫瘍の治療費って、いくらかかるの?」
「2026年8月から高額療養費が変わるって本当?」
そんな不安、ひとつずつ整理していきましょう。

脳腫瘍の治療は手術・放射線・抗がん剤と長期にわたります。何も知らないまま請求書を受け取ると不安に押しつぶされそうになりますが、日本には医療費の負担を大きく下げる公的制度がいくつもあります。PT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーのZUNが、当事者として実際に使った制度をまとめました。

このページでわかること
  • 2026年8月施行の高額療養費制度改定のポイント
  • 脳腫瘍治療で使える6つの公的制度の全体像
  • 制度を組み合わせたときの負担軽減シミュレーション
  • 申請の具体的な手順とまず相談すべき窓口
  • ZUN自身の申請体験(手術・放射線・テモゾロミドの治療費実例)

この記事を書いた人

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ZUN

理学療法士 × 脳腫瘍グレード3サバイバー

医療者として、そして患者として、両方の視点から脳腫瘍と向き合う方とそのご家族に、少しでも安心できて役立つ情報を届けられるように心がけています。

理学療法士(国家資格・2016年取得)/糖尿病療養指導士
脳卒中・整形外科・消化器・血液内科などのリハビリに従事
研修修了:呼吸器・がんリハビリ

手術・入院・リハビリ・退院後の生活を、臨床知識と実体験ベースでお伝えしています。

📢 2026年8月の高額療養費制度改定|まず知ってほしいこと

2026年8月から、高額療養費制度が見直されました。脳腫瘍のように長期治療が必要な患者にとって影響の大きい改定です。

🔔 改定の主なポイント(概要)

所得区分ごとの自己負担上限額が引き上げられました(区分により改定幅が異なります)。

「年間負担額の上限」が新たに設けられました。1年を通じた医療費自己負担の累計に上限が設定され、長期治療患者の負担増を緩和する仕組みです。

多数回該当(過去12か月で4回目以降)の上限額も区分により見直しされています。

⚠️ 具体的な金額・所得区分・適用要件はあなたの加入する健康保険組合と所得区分によって変わります。必ず厚生労働省公式サイトと加入保険組合の最新情報をご確認ください。

脳腫瘍患者にとっての意味:手術・放射線・抗がん剤と治療が連続する場合、「年間負担額の上限」が新設されたことで、長期にわたる累積負担に天井ができたのは大きな安心材料です。一方で月単位の上限が引き上げられた区分の方は、月々の負担増を見越した家計計画が必要になります。

💰 脳腫瘍治療で使える6つの公的制度

脳腫瘍の治療費負担を軽くする制度は、大きく分けて「医療費を下げる制度」「収入を補う制度」「生活を支える制度」の3カテゴリ・計6種類があります。

制度 ①

高額療養費制度|月の医療費自己負担に上限

同じ月にかかった医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が後から払い戻される(または事前に「限度額適用認定証」で窓口負担を抑えられる)制度。脳腫瘍治療の中核的な味方。2026年8月から年間上限も新設

制度 ②

自立支援医療(精神通院医療)|抗てんかん薬の自己負担を1割に

脳腫瘍術後にてんかん予防で抗てんかん薬を継続服用する場合、自立支援医療の対象になることがあります。窓口負担が原則1割に軽減され、所得に応じて月額上限も設定されます。

→ てんかん医療費支援の詳細記事
制度 ③

付加給付金(健康保険組合の独自制度)|さらに上乗せの軽減

大企業や官公庁などの健康保険組合では、高額療養費に加えて独自の上乗せ給付(付加給付金)を行っているケースがあります。月の自己負担をさらに2〜3万円程度に抑えられることも。必ず加入組合に確認を

→ 付加給付金の活用例
制度 ④

傷病手当金|働けない期間の収入を補う

病気で働けなくなった健康保険加入者に、標準報酬日額の約2/3が最長1年6か月支給される制度(協会けんぽ・組合健保加入者対象)。脳腫瘍の治療入院・休職期間の生活費の柱になります。

→ 傷病手当金の申請方法
制度 ⑤

障害者手帳・障害年金|後遺症が残った場合の長期支援

手術後の麻痺・高次脳機能障害・てんかんなどで日常生活に支障が残った場合、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の対象になることがあります。手帳取得で医療費助成・税制優遇・就労支援などが使えます。障害年金も生活の柱になります。

→ 障害者手帳の取得手続き
制度 ⑥

医療費控除|確定申告で税金が戻る

1年間の医療費が世帯合計で10万円(または所得の5%)を超えた場合、確定申告で所得税が戻る制度。通院交通費・市販薬・医療用具なども対象になることがあるため、領収書はすべて保管を。

📊 制度を組み合わせるとどう変わる?負担シミュレーション

脳腫瘍の入院・手術・放射線・抗がん剤を1か月の中で受けた場合、保険適用前の総医療費は数百万円規模になることもあります。ここで制度を組み合わせると——

段階内容イメージ
1. 総医療費手術・入院・抗がん剤など数百万円〜
2. 健康保険適用3割負担に圧縮数十万円〜
3. 高額療養費所得区分に応じた月額上限まで圧縮所得区分により数万〜十数万円
4. 年間上限(2026年8月〜)1年累計の天井で更に圧縮区分により設定額まで
5. 付加給付金組合員は更に上乗せ軽減月数万円台に抑えられることも
6. 自立支援医療抗てんかん薬通院は1割負担月数千円〜

⚠️ 上記はあくまで概念整理です。実際の金額は所得区分・加入保険・自治体によって大きく異なります。必ず加入保険組合・市区町村窓口・医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談してください。

📝 申請の手順|まず誰に相談する?

「制度がたくさんあって、どこから手を付けたらいいかわからない」という方へ。まず病院の医療相談員(MSW)に相談するのが一番の近道です。

1

病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談

入院中・通院中の病院に「医療相談室」「患者支援センター」があれば、まず予約を。MSWは制度の知識を全部もっているプロです。「お金が心配」と一言伝えるだけで、必要な制度を一緒に整理してくれます。無料です。

2

加入している健康保険組合に「限度額適用認定証」を申請

手術前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いが最初から高額療養費の上限額内に収まります。事後に払い戻しを待つ必要がありません。協会けんぽ・組合健保・国保のいずれも申請可能。

3

市区町村役場で自立支援医療・障害者手帳を相談

抗てんかん薬の継続服用がある方は自立支援医療(精神通院医療)を、後遺症がある方は身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の対象になるか、市区町村の障害福祉課で確認しましょう。診断書が必要です。

4

勤務先・健康保険組合に傷病手当金・付加給付金を確認

休職中の方は傷病手当金を勤務先または健康保険組合に申請。組合健保加入者は付加給付金の有無も必ずチェック。「うちの会社の健保にあるなんて知らなかった」というケースがとても多いです。

5

領収書を保管して、翌年確定申告で医療費控除

通院交通費・付添交通費・市販の医療用品なども対象になる場合があります。家族全員の医療費を世帯合算できるので、領収書は1年分まとめて保管しておきましょう。

🧠 ZUNの体験談|脳腫瘍サバイバー × PT

「制度を教えてもらい、お金の不安に押しつぶされずに済みました」

診断された直後、正直に言うと「治療費でいくらかかるんだろう」という不安が頭の片隅にずっとありました。手術・放射線・テモゾロミドと続く治療を前に、お金の心配は切実でした。

救われたのは、入院前に病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)に相談したことです。「限度額適用認定証は手術前に必ず取ってください」と教えてもらい、退院時の窓口精算が限度額に抑えられたので、ぐっと楽になりました。

その後、てんかん予防の抗てんかん薬で自立支援医療を申請、勤務先の事務員の方に付加給付金があることを教えていただき、想像していた負担額の半分以下に収まりました。

PT目線でも、患者さんで「お金が心配で治療を諦めようかと思った」という方を何人も見てきました。制度はちゃんと使う人のためにあります。「知らなかった」だけで損する仕組みなので、診断後すぐにMSWに相談してください。お金の心配で諦めずに済む可能性があります。

❓ よくある質問(FAQ)

2026年8月の高額療養費改定で、自己負担はどれくらい増えますか?

所得区分によって異なります。低所得区分は据え置きまたは軽微な変更、高所得区分ほど引き上げ幅が大きい傾向です。正確な金額は加入保険組合や厚労省公式サイトで必ず確認してください。一方で、新設された「年間負担上限」によって長期治療患者の累計負担には天井ができたのはプラスの変更です。

限度額適用認定証はいつ申請すればいい?

手術・入院が決まったらすぐです。加入している保険組合(協会けんぽ・組合健保・国保)に申請すると、通常1〜2週間で発行されます。窓口で提示すれば、その月の支払いが最初から上限額内に抑えられます。マイナンバーカードを保険証として使えば申請不要のケースもあります。

高額療養費と付加給付金は両方使えますか?

はい、併用可能です。高額療養費で月の上限まで圧縮された後、組合健保独自の付加給付金で更に上乗せ軽減されます。組合健保加入者は必ず加入組合のWebサイトや人事部に「付加給付金の有無」を確認してください。

家族の医療費も世帯で合算できますか?

高額療養費の「世帯合算」は同じ健康保険に加入している家族の自己負担額を合算できる仕組みです(21,000円以上の自己負担が対象)。医療費控除も同一生計の家族分を合算可能です。領収書はすべて保管しておきましょう。

国民健康保険でも傷病手当金はもらえますか?

原則として国民健康保険には傷病手当金の制度がありません(任意給付として一部自治体・国保組合では支給する場合あり)。協会けんぽ・組合健保加入者は対象です。フリーランス・自営業の方は所得補償保険(民間保険)や障害年金の活用を検討してください。

医療費が払えそうにない場合、どうすればいい?

まず病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に「支払いが厳しい」と早めに伝えること。分割払い・無利子貸付(高額療養費貸付制度)・生活保護など、複数の選択肢を一緒に探してくれます。一人で抱え込まないでください。

📝 まとめ

この記事のポイント

  • 2026年8月の高額療養費改定で月額上限が引き上げられた一方、「年間負担上限」が新設され長期治療患者の累計負担に天井ができた
  • 脳腫瘍の医療費を軽くする制度は6つ(高額療養費・自立支援医療・付加給付金・傷病手当金・障害者手帳/年金・医療費控除)
  • 制度を組み合わせれば、月数百万円規模の治療費が月数万円台まで圧縮できることも
  • 申請の第一歩は病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)に相談。無料で全制度を整理してくれる
  • 手術前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口支払いが最初から上限内に
  • 具体的な金額・所得区分は加入保険組合と厚労省公式で必ず確認を

お金の心配は、治療への集中を妨げる大きな要因です。でも日本には、ちゃんと使う人のための制度がたくさんあります。「知らなかった」だけで損するのはもったいない。ZUNも制度に救われた一人です。診断されたその日から、MSWに頼ってください。

📖 参考文献・公式情報

  1. 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
  2. 厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.html
  3. 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb31602/
  4. 全国健康保険協会「限度額適用認定証」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3150/sbb31501/
  5. 日本年金機構「障害年金」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/
  6. 国税庁「医療費控除を受ける方へ」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
  7. 国立がん研究センター がん情報サービス「がんとお金」 https://ganjoho.jp/public/support/backup/money.html
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「医療費の負担を軽くする制度」 https://ganjoho.jp/public/institution/backup/public_insurance.html
  9. 厚生労働省「医療費の自己負担」(2026年8月制度改定の概要) https://www.mhlw.go.jp/ ※最新の改定詳細は公式ページで確認のこと
  10. 各健康保険組合の「付加給付金」については加入組合のWebサイト・人事部にお問い合わせください
⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と公開情報をもとに作成した情報提供記事です。制度の詳細・最新情報・自己負担額は加入している保険組合・お住まいの自治体・厚生労働省公式ページで必ずご確認ください。
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ZUN
🩺 理学療法士|脳腫瘍サバイバー|長野県在住 2016年に理学療法士の国家資格を取得し、総合病院の急性期病棟で 脳卒中・整形外科リハビリを担当(糖尿病療養指導士/呼吸器リハ研修・がんリハ研修修了)。 2024年、悪性星細胞腫グレード3を発症。手術・放射線・化学療法を経て 現役で職場復帰。「医療者の知識」と「患者の実体験」の両方から、 脳腫瘍患者さんとご家族の力になる情報を発信しています。 詳細プロフィールは👇https://zunsyuyotaiken.com/profile/