頭頂葉の仕事とは?ダメージを受けるとどうなる?を解説

これらは頭頂葉のはたらきと関係していることがあります。
頭頂葉は感覚・空間認識・身体イメージを統合する「総合処理センター」です。
- この記事でわかること:頭頂葉の位置と構造
- 感覚・空間認識・身体イメージのはたらき
- ダメージを受けたときに起きやすい症状
- PT・サバイバー視点での体験と日常生活への影響
- 機能回復の可能性とリハビリの考え方
🧠 頭頂葉はどこにある?位置と構造
頭頂葉は頭の真上、頭頂部に位置する脳葉で、前頭葉の後ろ・後頭葉の前・側頭葉の上にあります。手のひらを頭の上に乗せたあたりが、ちょうど頭頂葉の位置です。
頭頂葉は大きく分けて「一次体性感覚野」「上頭頂小葉」「下頭頂小葉」の3つの領域に分かれており、それぞれが異なる役割を担っています。
左右の頭頂葉ははたらきが少し異なり、左頭頂葉は計算や書字・言語の処理に、右頭頂葉は空間認識や注意の機能により強く関わっています。脳腫瘍や脳卒中で頭頂葉に病変ができた場合、どちら側か・どの領域かによって出現する症状が大きく変わります。
🖐️ 頭頂葉の主な役割
⚠️ 頭頂葉にダメージがあると起きやすい症状
- 体の片側の感覚がなくなる・しびれる(体性感覚障害)
- 空間を正しく認識できない(道に迷う・距離感がずれる)
- 片方の空間を無視してしまう(半側空間無視)
- 物の位置関係や地図の理解が難しくなる
- 計算ができなくなる・文字が書けなくなる(ゲルストマン症候群)
- 体の一部がなくなったように感じる・片側を着替えない
- 箸やボタンなど細かい動作が難しくなる(感覚と運動の連携の問題)
🩺 PT・サバイバー視点:頭頂葉病変のリアル
リハビリ職として、私は頭頂葉にダメージを受けた患者さんを多く担当してきました。特に脳卒中後の 「半側空間無視(はんそくくうかんむし)」 の患者さんが印象的です。食事をしても お皿の左半分だけ残す、着替えで 左袖を通し忘れる、車椅子で 左の壁にぶつかる——本人にはまったく自覚がないことが多く、ご家族から見ると「なぜ気づかないの?」と戸惑われるケースが少なくありません。
また、感覚障害(触覚・痛覚・体の位置感覚の低下)は 「目に見えない後遺症」 の代表格です。歩けるようになっても、「足の裏の感覚がない」 と転倒リスクが高まる。指先の感覚が鈍ると、ボタン・チャック・お箸 が難しくなる——日常の細かな動作すべてに影響します。
私自身は右前頭葉の腫瘍でしたが、術後の感覚評価では「頭頂葉まで影響が及んでいないか」を慎重に確認されました。感覚と運動は二人三脚——どちらが欠けても、思うように動けなくなることを、当事者として改めて実感しました。
🏠 日常生活への影響と工夫
- 食事:お皿の片側を残してしまう/箸の使い方がぎこちない
- 着替え:服の左右が分からない/片袖を通し忘れる
- 移動:道に迷いやすい/物にぶつかる/距離感がずれる
- 細かい作業:指先の感覚が鈍くボタンが留めづらい/字が崩れる
- 計算・お金の管理:簡単な計算ができない(左頭頂葉)
- 体の感覚:手足が「自分のものでない」ような違和感
💡 工夫のヒント:「視覚で補う」——鏡で確認・色テープで目印・配置を固定する/「ゆっくり確認」の動作を習慣にする/家族には 「左側にも声をかける・物を置く」 工夫をお願いする。「環境を整えること」が、感覚障害の最大のリハビリ補助になります。
💪 機能回復の可能性とリハビリの考え方
頭頂葉のダメージによる症状は、神経可塑性(しんけいかそせい) によりリハビリで改善が見込まれます。感覚や空間認識のリハビリは「意識して使い続けること」が最大の鍵。動かない時間が長いほど症状は固定化しやすく、逆に積極的に使えば回復のチャンスが広がります。
具体的なリハビリの方向性:
① 感覚刺激リハビリ:温冷刺激・触覚刺激(柔らかい/硬い)・指先のマッサージ
② 半側空間無視へのアプローチ:意識的に左側を見る訓練・声かけ・赤い線を引いて気づきを促す
③ 視覚と運動の統合:鏡療法(mirror therapy)・両手で同じ動作を反復
④ 計算・書字:簡単な計算ドリル・なぞり書きから少しずつ
大切なのは 「焦らず・諦めず」。感覚は数ヶ月単位でゆっくり戻ることが多く、本人もご家族も 「変化が小さい時期」 を乗り越える忍耐が必要です。神経可塑性の仕組み も参考になります。
🚨 こんな時はすぐに受診を
- 急に片側の感覚がなくなった・しびれた(脳卒中の可能性)
- 急に物の位置や距離が分からなくなった
- 突然、計算や書字ができなくなった
- 強い頭痛と一緒に感覚や空間認識の問題が起きた
- 家族から見て「片側の物を無視しているように見える」状態が続く
📝 まとめ
- 頭頂葉は頭頂部にあり、感覚・空間認識・身体イメージを統合する「総合処理センター」
- 一次体性感覚野・上頭頂小葉・下頭頂小葉の3つの領域からなる
- 全身の感覚情報(触覚・痛み・体の位置)を受け取り処理する
- 左頭頂葉は計算・書字、右頭頂葉は空間認識・注意に強く関わる
- ダメージでは半側空間無視・感覚障害・計算困難などが起きやすい
- 感覚障害は「目に見えない後遺症」——家族の理解と環境整備が回復を助ける
- 神経可塑性により、リハビリで改善する可能性が十分にある
🔗 あわせて読みたい関連記事
- MSDマニュアル家庭版.「部位別にみた脳の機能障害」. msdmanuals.com
- Johns Hopkins Medicine. “Brain Anatomy and How the Brain Works.” hopkinsmedicine.org
- NINDS. “Brain Basics: Know Your Brain.” ninds.nih.gov
- Kolb B, et al. “Neuroanatomy, Cerebral Cortex.” StatPearls. NCBI. NBK537247
- Afifi AK. “Anatomy, Central Nervous System.” StatPearls. NCBI. NBK542179
- Kleim JA, Jones TA. “Principles of experience-dependent neural plasticity: implications for rehabilitation after brain damage.” J Speech Lang Hear Res. 2008. PMID:18230848
- 国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍(成人)」. ganjoho.jp











