⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。診断・治療の代替ではありません。気になる症状がある場合は必ず医師にご相談ください。

「最近なんだかミスが増えた…」「やる気が出ないのは年のせい?」
そんな違和感、実は脳の前頭葉の働き低下が関係している可能性があります。

前頭葉は、判断力・計画力・感情のコントロールなど、日常生活に欠かせない機能を担っています。
脳腫瘍サバイバーのZUN自身も、術後に前頭葉の働きの変化を体験してきた一人です。

📋 このページでわかること

  • 前頭葉の働き低下に気づくための10項目セルフチェック
  • 自宅でできる4つの簡易セルフテスト(リハビリ評価ベース)
  • 前頭葉が日常生活に果たす役割
  • 「すぐ受診すべき」危険なサインの見分け方

📋 まずはセルフチェックしてみましょう

☑ 前頭葉セルフチェックリスト(10項目)

  • 段取りを考えるのが苦手になった
  • 同じミスを繰り返す
  • 感情の起伏が激しくなった
  • 急にやる気が出なくなった
  • ぼーっとする時間が増えた
  • 注意力が続かない
  • 会話中に話が飛ぶ
  • 衝動的な行動が増えた
  • 以前より計画的に動けない
  • 家族から「変わった」と言われる

⚠️ 1つでも当てはまった方へ

1つ当てはまっただけでは、すぐに病気とは限りません。しかし以下の状況では注意が必要です:

  • 複数の項目に当てはまる
  • 最近急に増えた・悪化している
  • 日常生活に支障が出ている

🧪 自宅でできる前頭葉セルフテスト(簡易リハビリ評価)

リハビリの現場で使われる評価をベースに、自宅で一人(または家族と)できる簡単なテストを4つ紹介します。

🗞️ ① 注意力テスト(新聞・チラシでOK)

【やり方】

  1. 新聞やチラシを1枚用意する
  2. タイマーを1分にセット
  3. 「あ」などの特定の文字を見つけて、すべてに丸をつける

チェックポイント

  • 見落としが多い
  • 途中で集中が切れる・飽きてしまう
  • ルール(特定の文字)を忘れてしまう
👉 注意力・持続力の低下サイン
✊ ② 抑制力テスト(手遊びでOK)

【やり方(家族と向かい合って)】

  1. 「グー」と言われたらパーを出す
  2. 「パー」と言われたらグーを出す
  3. 相手の動きとは「あべこべ」の動作を数回繰り返す

チェックポイント

  • つられて同じ動きをしてしまう
  • 反応が極端に遅れる
👉 前頭葉の”抑える力”(抑制機能)のチェック
🔄 ③ 切り替えテスト

【やり方】

  1. まず「1〜10」まで数字を声に出して言う
  2. 慣れてきたら、数字と五十音を交互に言う
    例:「1→あ→2→い→3→う…」

チェックポイント

  • 混乱してしまう
  • 時間がかかりすぎる
  • 間違いが多い
👉 思考の切り替え能力(認知的柔軟性)
💬 ④ 発想力テスト(語想起)

【やり方】

  1. タイマーを1分にセット
  2. 「”あ”から始まる言葉」をできるだけたくさん言う

チェックポイント

  • 言葉が全然出てこない
  • 同じ言葉を繰り返してしまう
👉 前頭葉の”言語・発想機能”(語想起)

🧠 なぜ前頭葉が大事なの?

前頭葉は、人間を人間らしくいさせてくれる「高度な脳」です。脳全体の約30%を占め、以下の3つの機能を主に担っています。

💡

論理的思考・問題解決

複雑な問題を整理して解決する力。仕事や家事の段取りに直結します。

📋

実行機能(遂行機能)

計画を立てて、効率よく行動する力。目標達成に不可欠な機能です。

🎭

抑制機能(感情制御)

感情や衝動をコントロールする力。人間関係を円滑にする上で大切です。

💬 前頭葉の機能が低下すると、周囲から「だらしなくなった」「頑固になった」「冷たくなった」と誤解されてしまうこともあります。本人は努力しているのに、脳の機能変化が原因であることを周囲に理解してもらいにくい——それが前頭葉の難しさです。

👉 前頭葉の仕事内容について詳しく解説した記事はこちら

🏥 受診を検討すべき「危険なサイン」

🚨 以下の症状がある場合は早急に専門医(脳神経外科・神経内科)へ

  • 急激に症状が悪化している
  • 強い頭痛や吐き気がある
  • ろれつが回らない・言葉が上手く出ない
  • 手足にしびれや麻痺がある
  • 意識がぼんやりする・意識を失ったことがある

これらの症状は、単なる疲れや加齢ではなく、脳腫瘍・脳血管障害・認知症などの脳疾患が隠れている可能性があります。

📒 受診時にメモしておくと良いこと

  • いつから症状が始まったか
  • どんな場面で困っているか(例:料理の味付けを忘れる、など)
  • 頻度や変化(例:週に数回だったのが、毎日になった、など)
🧑‍⚕️
ZUNの体験談|脳腫瘍サバイバー × 理学療法士 グリオーマ術後の当事者として

私は脳腫瘍(グリオーマ)の手術後、「なんとなくぼんやりする」「日常生活の優先順位がうまくつけられない」という感覚を経験しました。「疲れているだけかな」と思っていたことが、実は術後の前頭葉機能の変化だったと後から気づきました。

リハビリの現場でも、このような「目に見えにくい変化」が患者さんに大きなストレスをもたらすケースを多く見てきました。セルフチェックや簡易テストで自分の状態に気づくことが、適切なサポートへの第一歩になります。

「おかしいな」という小さな違和感を大切にしてください。それはあなたの脳が送っているSOSサインかもしれません。

📝 まとめ

前頭葉SOSセルフチェック|ポイントまとめ

  • 前頭葉の不調は「ちょっとした違和感」から始まる
  • 10項目チェックで、気になる変化を早めに把握しよう
  • 注意力・抑制力・切り替え・語想起の4テストで自己確認できる
  • 複数当てはまる・急に悪化したときは専門医へ相談を
  • 「おかしいな」と感じた今が、脳をケアする大切なタイミング
※本記事は簡易チェックであり、診断に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関で正式な検査を受けてください。

📖 参考文献

  • Ioannidis K, et al. “Value of the Frontal Assessment Battery Tool for Assessing the Frontal Lobe Function in Stroke Patients.” Front Neurol. 2020. PMC7463112
  • Iavarone A, et al. “The Frontal Assessment Battery (FAB) and its sub-scales: validation and updated normative data in an Italian population sample.” Neurol Sci. 2022. PMC8789707
  • Kataoka H, et al. “Validity and Reliability of the Japanese Version of the Frontal Assessment Battery in Patients with Stroke.” J Stroke Cerebrovasc Dis. 2024. PMC11510384
  • Burgess PW, et al. “Let’s Inhibit Our Excitement: The Relationships Between Stroop, Behavioral Disinhibition, and the Frontal Lobes.” Front Hum Neurosci. PMC3158285
  • Scarpina F, Tagini S. “The Stroop Color and Word Test.” Front Psychol. 2017. PMC5388755
  • Bott NT, et al. “Verbal fluency tests assess global cognitive status but have limited diagnostic differentiation.” Alzheimers Dement. 2023. PMC9999359
  • Lyu J, et al. “Verbal Fluency as a Screening Tool for Mild Cognitive Impairment.” Int Psychogeriatr. 2022. PMC9153280
  • Conklin HM, et al. “Relationships between cognitive flexibility performance and adaptive behavior outcomes in survivors of pediatric brain tumor.” Neuropsychology. 2024. PMID: 38946166
  • Zinn S, et al. “Trail Making Test Elucidates Neural Substrates of Specific Poststroke Executive Dysfunctions.” Stroke. 2016. PMID: 26382176
  • 前島信也. 「前頭葉の機能と病態:リハビリテーションの視点から」 高次脳機能研究. J-STAGE. J-STAGE
⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。診断・治療の代替ではありません。気になる症状がある場合は必ず医師にご相談ください。