⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。診断・治療の代替ではありません。気になる症状がある場合は必ず医師にご相談ください。
「最近、人の名前がパッと出てこない……」
「話は聞こえているのに、内容が頭に入ってこない」

それ、ただの疲れや加齢ではなく、
脳の「側頭葉」の働きの低下が関係している可能性があります。

側頭葉は記憶・言語理解・聴覚・感情に深く関わる重要な部位です。
この記事では、以下の内容をわかりやすく解説します。

  • 簡単セルフチェックリスト(10項目)
  • 自宅でできるミニテスト(リハビリ評価ベース・4種)
  • 前頭葉との症状の違い比較表
  • 今すぐ受診を検討すべき危険サイン

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ZUN

理学療法士 × 脳腫瘍グレード3サバイバー

医療者として、そして患者として、両方の視点から脳腫瘍と向き合う方とそのご家族に、少しでも安心できて役立つ情報を届けられるように心がけています。

理学療法士(国家資格・2016年取得)/糖尿病療養指導士
脳卒中・整形外科・消化器・血液内科などのリハビリに従事
研修修了:呼吸器・がんリハビリ

手術・入院・リハビリ・退院後の生活を、臨床知識と実体験ベースでお伝えしています。

側頭葉セルフチェックリスト

側頭葉セルフチェックリスト

最近、以下の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。

🧠側頭葉セルフチェックリスト
最近、明らかに物忘れが増えた
知っているはずの人の名前が出てこない
さっき話したばかりの内容をすぐに忘れる
相手の話の内容を理解するのに時間がかかる
テレビのストーリーが以前より頭に入りにくい
同じことを何度も聞き返してしまう
言いたい言葉が「あれ」「それ」になり、名前が出てこない
音としては聞こえるが、言葉の意味がスッと入ってこない
感情の起伏が激しくなった
理由もなく、急に不安やイライラが強くなった
⚠️1つでも当てはまった方へ

1つだけでは問題ないことも多いですが、以下に該当する場合は注意が必要です。

  • 複数当てはまる
  • 徐々に悪化している
  • 家族に指摘される

自宅でできる「側頭葉」セルフテスト(リハビリ評価参考)

🧪自宅でできる「側頭葉」セルフテスト(リハビリ評価参考)

側頭葉(特に海馬や言語野)の機能をチェックするための簡易テストです。
※診断の代替ではありません。あくまで目安としてご活用ください。

記憶力テスト(海馬のチェック)
やり方
  1. 脈絡のない3つの言葉を覚えます(周囲の人に出してもらう)。
    例:りんご・電車・犬
  2. 別の作業(②や③のテスト)を1分間行う。
  3. その後、最初の3つの言葉を思い出す。
チェックポイント
  • 1つも出てこない
  • ヒントがないと思い出せない
🧠 側頭葉(海馬)の「短期記憶・遅延再生」をチェック
聴覚理解テスト(言語野のチェック)
やり方
  1. 家族に、少し複雑な指示を出してもらう。
    例:「右手で左の耳を触ってから、立ち上がってください」
  2. 実際に言われた通りに動く。
チェックポイント
  • 指示通りにできない
  • 途中で混乱する
🗣️ 側頭葉(言語野)の「聴覚的言語理解」をチェック
言語テスト(語想起・呼称のチェック)
やり方
  1. 【名前当て】身近な物(時計・ペン・眼鏡など)を3つ揃え、家族に「この名前は何?」と聞いてもらう。すぐに答える。
  2. 【言葉出し】タイマーを1分間にセットし、「動物の名前」をできるだけ多く挙げる。
    目安:健常な成人で平均15〜20語程度
チェックポイント
  • 物の名前がすぐに出てこない(「あれ」「それ」が増える)
  • 言葉出しで10語以下しか出ない
  • 動物の数が極端に少ない
💬 側頭葉の「語想起・呼称・語流暢性」をチェック
感情テスト(家族と一緒にチェック)
やり方

家族に「最近の自分の様子」を客観的に聞いてみる。

例:「急に怒りっぽくなった?」「以前より不安が強い?」「理由なく落ち込む?」
チェックポイント
  • 感情のコントロールが難しくなった
  • 理由なく不安になる
  • 家族の指摘と自分の自覚症状にズレがある
❤️ 側頭葉(大脳辺縁系)の「感情調整」をチェック
側頭葉の役割をもっと詳しく知りたい方はこちら

側頭葉の役割とは?

🧠側頭葉の役割とは?
🧩
記憶する
海馬が短期記憶を長期記憶へ変換する。ここが損傷すると「さっきのことを忘れる」。
🗣️
言葉を理解する
言語野(ウェルニッケ野)が話し言葉の意味を処理する。損傷で「聞こえるが意味がわからない」状態になる。
👂
音を認識する
聴覚野が音の種類・意味を識別する。音楽や声の認識もここが担う。
❤️
感情をコントロールする
辺縁系(扁桃体)が感情の起伏に関わる。損傷で理由のない不安・イライラが起きることがある。

側頭葉に異常が起きると、「会話が成り立たない」「記憶力が落ちる」といった変化が現れます。特に海馬は記憶の入り口であり、ここが障害されると日常生活への影響が大きくなります。

前頭葉」と「側頭葉」の症状の違い

🆚「前頭葉」と「側頭葉」の症状の違い

「自分の症状はどっちかな?」と迷う方は、以下の表を参考にしてください。

比較項目🧠 前頭葉(司令塔)の不調🧩 側頭葉(記憶・理解)の不調
主な役割判断・計画・感情の制御記憶・言語理解・聴覚
物忘れの特徴「効率の悪さ」や「ミス」が目立つ「内容」や「名前」そのものを忘れる
会話の違和感話が飛ぶ・一方的に喋る話が理解できない・言葉が出ない
性格・感情の変化やる気がなくなる・無関心になる理由なく不安になる・イライラする
【要注意】ただの物忘れじゃない?前頭葉のSOSを疑うセルフチェック10項目

ZUNの体験談

💬ZUNの体験談
🧠
ZUN(脳腫瘍サバイバー × 理学療法士PT)
当事者の目線から

私の友人は側頭葉の言語野にかかる大きな腫瘍で、「物の名前が出てこない」「同じことをなん度も言う」とストレスだと言っていましたが、病院には行かず様子見・・・。

当時の友人に伝えたいこと:「聞こえているのに理解が遅れる」は、耳の問題ではなく脳の問題かもしれない。早めの受診を促すべきでした。

PTの観点からも、側頭葉の機能低下は「語流暢性(動物の名前を挙げるテスト)」や「遅延再生(後で思い出す)」が最初に落ちることが多いです。自宅でできる簡易テストでも、この傾向はある程度確認できます。

「なんかおかしいな」という直感は、脳からのサインである可能性があります。早めに専門医に相談してみてください。

今すぐ受診を検討すべき症状

🚨今すぐ受診を検討すべき症状
🚨単なる加齢ではなく、病気が隠れている可能性がある危険なサインです
  • 短期間で急激に物忘れが進行している
  • 会話がほとんど成り立たない
  • 強い頭痛や吐き気を伴う
  • ろれつが回らない、言葉が支離滅裂になる
  • 意識がぼんやりしている
受診時に伝えるポイント
  • いつから症状が気になりだしたか
  • どんな場面で違和感があるか
  • 家族や周囲の指摘(「同じことを何度も聞く」など)
※家族からの客観的な情報は、医師の診断に非常に役立ちます。

まとめ

📝まとめ
側頭葉の不調、早めのチェックが大切
  • 側頭葉の不調は「物忘れ」「言葉が出ない」「会話の違和感」として現れることが多い
  • セルフチェック・ミニテストは、気づきのための目安として活用しよう
  • 前頭葉と側頭葉では症状の出方が異なる。比較表で確認してみよう
  • 複数当てはまる・悪化している場合は、早めに専門医へ相談
  • 「なんかおかしいな」という直感を大切に。その感覚は脳からのサインかもしれない

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参考文献
  1. Bhimji SS, et al. “Neuroanatomy, Temporal Lobe.” StatPearls [Internet]. NCBI Bookshelf. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK519512/
  2. MSDマニュアル家庭版.「部位別にみた脳の機能障害」. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/…
  3. Noll KR, et al. “Neurocognitive Changes Associated With Surgical Resection of Left and Right Temporal Lobe Glioma.” Neurosurgery. 2016;78(6):829-838. PMC4831270
  4. Bosma I, et al. “Neurocognitive functioning in patients with glioma of the left and right temporal lobes.” J Neurooncol. 2007. PMC4884162
  5. Maschio M, et al. “Brain Tumor at Diagnosis: From Cognition and Behavior to Quality of Life.” Cancers. 2023. PMC9914203
  6. Nwogbo DI, et al. “Neuropsychiatric symptoms as early indicators of brain tumors.” Front Psychiatry. 2024. PMC11661549
  7. Gehring K, et al. “Postacute Cognitive Rehabilitation for Adult Brain Tumor Patients.” Cancers. 2021. PMC8600173
  8. Lamballais S, et al. “Verbal Fluency as a Screening Tool for Mild Cognitive Impairment.” Int J Neuropsychopharmacol. 2022. PMC9153280
  9. Memarian N, et al. “Temporal lobe interictal spikes disrupt encoding and retrieval of verbal memory.” Epilepsia. 2022;63(8):2030-2044. PMID: 35708911
  10. Taylor JA, et al. “Brain Tumor Rehabilitation: Symptoms, Complications, and Treatment Strategy.” Phys Med Rehabil Clin N Am. 2023. PMC9833490
⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。本記事のセルフチェック・セルフテストは診断の代替ではありません。複数の症状が当てはまる場合や悪化が感じられる場合は、必ず医師にご相談ください。
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ZUN
🩺 理学療法士|脳腫瘍サバイバー|長野県在住 2016年に理学療法士の国家資格を取得し、総合病院の急性期病棟で 脳卒中・整形外科リハビリを担当(糖尿病療養指導士/呼吸器リハ研修・がんリハ研修修了)。 2024年、悪性星細胞腫グレード3を発症。手術・放射線・化学療法を経て 現役で職場復帰。「医療者の知識」と「患者の実体験」の両方から、 脳腫瘍患者さんとご家族の力になる情報を発信しています。 詳細プロフィールは👇https://zunsyuyotaiken.com/profile/