🏋理学療法士が解説!抗がん剤副作用ランキングと「動ける身体」を守る対処法

⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。診断・治療の代替ではありません。運動・セルフケアを始める際は必ず担当医・担当PTにご相談ください。
「体がだるくて動くのがつらい…」「手足がしびれて歩くのが怖い」
抗がん剤治療中、そんな悩みを抱える方はとても多いです。でも「過度な安静」がかえって回復を遅らせてしまうことも少なくありません。
この記事では、リハビリ目線で副作用を「生活への影響度」でランキングし、今日から自宅でできるセルフケアをPT×がんサバイバーのZUNが解説します。
抗がん剤治療中、そんな悩みを抱える方はとても多いです。でも「過度な安静」がかえって回復を遅らせてしまうことも少なくありません。
この記事では、リハビリ目線で副作用を「生活への影響度」でランキングし、今日から自宅でできるセルフケアをPT×がんサバイバーのZUNが解説します。
- 第1位 倦怠感——「動かない」が悪化させる負のスパイラルと抜け出し方
- 第2位 手足のしびれ——転倒リスクを下げる「視覚代償」と関節ケア
- 第3位 筋力低下——数日の安静でも筋肉は落ちる。「ちょこまか運動」で守る
- 第4位 手足の重だるさ——「第二の心臓」を動かして血流を取り戻す
🏆抗がん剤副作用ランキング & 理学療法士おすすめセルフケア
🥇
第1位|倦怠感(だるさ・疲労感)
なんと言ってもこれが1位! 最も頻度が高く、活動量を低下させる最大の原因
👀リハビリ目線での解説
「だるいから動かない」という選択は、心肺機能や筋力の低下を招き、さらにだるさを強く感じさせる負のスパイラルに陥らせます。これを打破するのが「中強度の有酸素運動」です。体内の血流を改善し、炎症物質の代謝を促すことで、脳や体の「重だるさ」を内側からリセットしてくれます。🙆自分でできる対処法:1日10分の「リフレッシュ運動」
- スローステップ(足踏み):外に出るのがつらい日は、テレビを見ながら家の中で足踏みするだけで十分です。
- 「少し息が弾む」程度が目安:ゼーゼーするほど追い込む必要はありません。「隣の人と笑顔で会話ができる」くらいの強度が最適です(トークテスト)。
- 分割してOK:「10分動いたら5分休む」インターバル形式で分散させましょう。一気に片付けようとしないのがコツです。
👉 有酸素運動の詳しいやり方は 有酸素運動ガイド記事をご参照ください
🧠 ZUNの体験
抗がん剤(テモダール)内服3日目から倦怠感が強く出てきました。「全身のだるさが3日目の昼から始まり、4日目をピークに徐々に落ち着く」という流れで経過していました。朝方は比較的症状が落ち着いており、その時間にウォーキングや家庭菜園などで軽い汗を流していました。初回治療時は「どんな症状がいつ来るか」「楽になる時間帯はいつか」を把握しておくことも大切です。 🥈
第2位|手足のしびれ(末梢神経障害・CIPN)
数クール繰り返すと徐々に出現。転倒リスクに直結する
👀リハビリ目線での解説
抗がん剤の影響で手足の末梢神経がダメージを受けると、ジンジン・ピリピリとした痛みや、膜を張ったような感覚の鈍さが現れます。最も懸念するのは、「足の裏のセンサーが働かなくなることによる転倒」です。研究では、CIPNを抱えるがんサバイバーは転倒リスクが約1.4〜1.8倍高まることが示されています。特に夜暗い場所や柔らかいカーペットの上は危険なポイントです。🙆自分でできる対処法:視覚活用と関節コンディショニング
- 「目で見て」歩く(視覚代償):足裏の感覚が頼りない分、足元をしっかり目で確認して一歩ずつ踏み出しましょう。「感覚の代わりに視覚で補う」意識が転倒予防の第一歩です。
- 足首・指のグーパー運動とストレッチ:しびれがあると足を動かさなくなりがちですが、血流が悪くなると症状がさらに強まることがあります。座ったまま足指のグーパー、アキレス腱ストレッチ、長座体前屈で血流を維持しましょう。
- 環境設定(滑り止め):滑り止め付き靴下に変える、手すりを使う、滑り止めマットを敷くなど物理的な対策も重要です。
🧠 ZUNの体験
私も両足の親指が、10クールを過ぎた頃から「正座した後のような」しびれが続いています。足元の感覚が不安定な時は、グリップ力のある素材のマットを足元に敷いてストレッチを行うと安心です。 🥉
第3位|筋力低下(サルコペニア・廃用症候群)
わずか数日の安静でも筋肉は落ちる。「体力貯筋」が完走の鍵
👀リハビリ目線での解説
治療の影響で活動が減ると、わずか数日の安静でも筋肉は細くなってしまいます。これを「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」と呼びます。筋肉は体を動かすだけでなく、代謝・免疫・骨密度にも関わる重要な臓器です。筋肉量が少ないと抗がん剤の副作用(毒性)が強く出やすいことも報告されており、「体力貯筋」が治療を最後まで完走するための武器になります。🙆自分でできる対処法:低負荷・高頻度の「ちょこまか運動」
- 椅子からの立ち上がり(スクワット):歯磨きの間やCM中に5〜10回。「ゆっくり座って、さっと立つ」だけで太ももの大きな筋肉が鍛えられます。
- かかと上げ運動:台所に立っているときにかかとを上げて2秒キープ。ふくらはぎを鍛えながら、第4位の「重だるさ」を解消するポンプ機能も同時に高まります。
- 「ながら」リハビリ:完璧なトレーニング時間を設けるのではなく、生活動作の中にリハビリを組み込むのが継続のコツです。
🧠 ZUNの体験
私は歯磨き中のスクワット、子供の寝かしつけに抱っこしながらスクワットやかかと上げをしていました。「大げさな運動」より「日常に組み込む小さな動き」の方が続きます。 🏅
第4位|手足の重だるさ(循環不全・浮腫)
「第二の心臓」を動かして、溜まった水分を押し戻す
👀リハビリ目線での解説
活動量の低下により血液・リンパのポンプ機能が弱まると、手足に余分な水分が溜まり「鉛のように重い」と感じるようになります。理学療法士が注目するのは、この「重さ」が原因で足を上げる筋肉(腸腰筋など)が疲れやすくなり、つまずきや転倒に繋がる点です。精神的な意欲も削がれやすいため、早めのケアが肝心です。🙆自分でできる対処法:ミルキングアクションと挙上
- 足首ポンプ(ミルキングアクション):ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれる部位です。座ったままかかとを上げ下げする運動を1日30回程度行うだけで、溜まった水分を心臓へ押し戻すポンプが働きます。
- 重力を味方につける:休憩時はクッションや座布団を使い、手足を心臓より少し高い位置に保ちましょう。これだけで翌朝の「足の軽さ」が変わります。
⚠️ 末梢神経障害がある場合の注意:湯たんぽや足浴など温熱ケアを行う際は、感覚が鈍くなっているため低温やけどに十分ご注意ください。必ず温度を確認してから使用しましょう。
🧠 ZUNの体験談(脳腫瘍サバイバー × PT)
「攻めのリハビリ」で、治療と日常を両立する
理学療法士として「運動の大切さ」はわかっているつもりでした。でも、いざ自分が患者になると「今日はもう休もう」という気持ちに負けそうになる日が何度もありました。
それでも続けられたのは、「完璧にやろうとしない」マインドのおかげです。歯磨き中のスクワット10回、朝の庭での5分ウォーキング。そういう小さな積み重ねが、体力を守り続ける「貯筋」になっていたと、今振り返るとはっきり感じます。
副作用は本当につらいものです。無理は禁物です。でも、「動けないから動かない」ではなく、「動ける範囲で動く」という意識を持つだけで、体と気持ちは大きく変わります。今日できる小さな一歩が、数ヶ月後の自分の体を作ります。
— ZUN(脳腫瘍サバイバー・PT)
🧩まとめ:副作用と上手に付き合い、「動ける体」を守り抜く
抗がん剤治療中の副作用は、心身ともに本当につらいものです。無理な時は思いっきり休んでOKです。その上で、正しい知識と「適切な工夫」を取り入れることで、生活の質(QOL)は大きく変わります。
1
「安静」が正解とは限らない
体調が良いときは、家の中での数分の散歩や軽い有酸素運動が、だるさをリセットする特効薬になります。
2
道具と環境を賢く使う
自分の力だけで頑張ろうとせず、滑り止めや手すりなどの環境整備を積極的に活用して、脳と体に「成功体験」を積み上げましょう。
3
「今ある力」を守り続ける
筋肉や体力の「貯筋(貯金)」を守ることは、治療を最後まで完走するための最大の武器になります。
🔑この記事のポイント
- 倦怠感は「過度な安静」で悪化する。軽い有酸素運動(足踏み・ウォーキング)で負のスパイラルを断ち切る
- 末梢神経障害(しびれ)は転倒リスク約1.4〜1.8倍増。視覚代償・グーパー運動・環境整備で対処
- 筋力低下は数日の安静でも起きる。歯磨き中スクワット・かかと上げなど「ながら運動」で維持
- 重だるさ・浮腫はふくらはぎの「ミルキングアクション」と手足の挙上が効果的
- 末梢神経障害がある場合は温熱ケア(湯たんぽ等)の低温やけどに要注意
📚参考文献
- Cavaletti G, et al. “Exercise for reducing chemotherapy-induced peripheral neuropathy: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.” Support Care Cancer. 2024. PMC10813204
- Kleckner AS, et al. “Behavioral and exercise interventions for CIPN prevention and management.” J Cancer Surviv. 2022;16(5):985-999. PMC9971149
- Soriano-Maldonado A, et al. “Skeletal Muscle Deconditioning in Breast Cancer Patients Undergoing Chemotherapy.” Front Cell Dev Biol. 2021;9:719643. PMC8476809
- Brown JC, et al. “Effect of Aerobic Exercise on Cancer-related Fatigue.” Med Sci Sports Exerc. 2017;49(11):PMC5661333. PMC5661333
- Hilfiker R, et al. “Exercise and other non-pharmaceutical interventions for cancer-related fatigue: systematic review and meta-analysis.” Br J Sports Med. 2018;52(10):651-658. PMC5810532
- Cheung YT, et al. “Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy and Falls in Cancer Survivors Relate to Digital Balance and Gait Impairments.” Cancer. 2024. PMC11617114
- Seretny M, et al. “Neurological Outcomes of CIPN in Cancer Patients: Systematic Review and Meta-Analysis.” Pain. 2023. PMC10571681
- Xiao J, et al. “Effectiveness of sarcopenia interventions for cancer patients receiving chemotherapy: Systematic review and meta-analysis.” J Cancer. 2021;12(16):4878-4886. PMC8627517
- Prado CM, et al. “Sarcopenia and chemotherapy-mediated toxicity.” Clin Cancer Res. 2016. PMC5221390
- 国立がん研究センター. “がんとリハビリテーション医療.” がん情報サービス. ganjoho.jp
⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。診断・治療の代替ではありません。運動・セルフケアを始める際は必ず担当医・担当PTにご相談ください。





