⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。リハビリの内容は担当リハビリスタッフ・主治医と必ずご相談ください。
「手術が終わった。でも、体がうまく動かない」
「リハビリって、何をするの?」
「どこまで回復できるんだろう……」

そんな不安に、寄り添いながら答えます。
  • 手術後に体はどんなふうに変わる?
  • リハビリって具体的に何をするの?
  • 入院中・退院後、リハビリはどう進むの?
  • 治療中でも、動いていいの?

この記事を書いた人

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ZUN

理学療法士 × 脳腫瘍グレード3サバイバー

医療者として、そして患者として、両方の視点から脳腫瘍と向き合う方とそのご家族に、少しでも安心できて役立つ情報を届けられるように心がけています。

理学療法士(国家資格・2016年取得)/糖尿病療養指導士
脳卒中・整形外科・消化器・血液内科などのリハビリに従事
研修修了:呼吸器・がんリハビリ

手術・入院・リハビリ・退院後の生活を、臨床知識と実体験ベースでお伝えしています。

💭 まず知ってほしいこと — リハビリへの誤解

「リハビリ」と聞くと、「つらい訓練」「頑張って体を鍛えるもの」というイメージを持つ方も多いかもしれません。でも、脳腫瘍後のリハビリは少し違います。

🌿 リハビリは「今日の自分と仲良くすること」

脳腫瘍後のリハビリの目標は、「元通りの体に戻ること」だけではありません。「今の自分でできる生活を、少しずつ広げていくこと」です。焦らなくていい。比べなくていい。昨日の自分より少し動けたら、それで十分。

🔄 リハビリは3つの時期に分かれます

🏥
第1期 / 手術直後〜退院まで
急性期リハビリ — ベッドの上から始まる

手術翌日から、ベッドサイドでリハビリが始まることがほとんどです。「早く動く」ことで、筋力の低下や床ずれ、肺炎などを予防できます。最初は「体を起こす」「ベッドに座る」といった小さなステップから。焦らず、ゆっくりで大丈夫です。

🚶
第2期 / 退院後〜外来リハビリ
回復期リハビリ — 歩く・話す・日常生活を取り戻す

歩行・階段・家事・入浴など、日常生活の動作を少しずつ回復させていきます。言葉が出にくい場合は言語聴覚士(ST)、手先の動作が不自由な場合は作業療法士(OT)も一緒に関わります。放射線・お薬の治療中も、体の状態を見ながらリハビリを続けることが大切です。

🏠
第3期 / 在宅・長期
生活期リハビリ — 自分らしい生活を続ける

在宅での自主トレーニング・訪問リハビリ・デイケアなどを組み合わせながら、仕事や趣味、社会参加へと少しずつ広げていきます。「完全に元通り」でなくても、自分なりの充実した日常を作っていける期間です。

🌿 治療中に「疲れやすい」のは、あなたのせいじゃない

放射線や化学療法中に「とにかく疲れる」「何もする気になれない」という症状を感じる方が多いです。これは「がん関連疲労(Cancer-Related Fatigue)」と呼ばれる症状で、気力・体力の問題ではなく、れっきとした医学的な症状です。

🌿 「動けない自分」を責めないで

「もっと頑張れるはずなのに」と自分を責めてしまう方がいます。でも、疲れは体が「今は休んで」と言っているサインです。休むことも、立派なリハビリの一部。無理せず、今日の自分のコンディションに合わせて動くことが、長く続けるコツです。

💡 PTが教える「疲れとうまく付き合う」コツ
  • 「少し物足りない」くらいで止める — やり過ぎると翌日動けなくなる
  • 午前中の元気な時間を活用する — 疲れやすい時間帯を把握しよう
  • 歩くだけでも十分 — 難しい運動より、毎日少し歩く習慣のほうが大切
  • 「今日できなかった」より「今日できたこと」を数える

🫂 ご家族へ — そばで見守るあなたへ

リハビリに取り組む家族を見ていて、「もっとやってほしい」「なぜ動かないのだろう」と感じることがあるかもしれません。でも、見えない疲れや痛み、気持ちの落ち込みが、体の動きを止めていることも多いのです。

💛 ご家族にお願いしたいこと

「頑張れ」よりも、「今日も動けたね」「ゆっくりでいいよ」の一言が、患者さんの気持ちを軽くします。リハビリのペースは、患者さん自身と医療チームが決めるもの。ご家族は「見守る・一緒にいる」だけで、とても大きな力になっています。

💬 ZUNの体験談|脳腫瘍サバイバー × PT

患者として体験して初めてわかったこと

PTとして患者さんのリハビリを支えてきた自分が、手術後に自分の足でうまく歩けなくなったとき——正直、焦りました。「これで復職できるのだろうか」って。

でもそこで初めてわかったんです。「がんばれ」って言葉がいかに重いか。すでに精一杯の患者さんに「もっと」を求めることの酷さを、患者になって初めて実感しました。

今だから言えること——リハビリはゴールじゃなく、今日の自分と付き合い続けること。それができたら、それで十分なんです。

— ZUN(脳腫瘍サバイバー / PT)

❓ よくある質問(FAQ)

リハビリはいつから始められますか?

手術翌日からベッドサイドで開始することが多いです。担当医・リハビリスタッフが体の状態を見ながら、「座る」「立つ」など小さなステップから無理のない範囲で進めていきます。自己判断ではなく、必ず医療チームの指示に従ってください。

退院後もリハビリは続けたほうがいいですか?

はい、退院後の継続が回復のカギです。外来リハビリ・訪問リハビリ・デイケアなど、生活スタイルに合わせて選べます。担当医や医療相談員(MSW)に相談すると、地域の選択肢を案内してもらえます。

放射線治療や抗がん剤治療中もリハビリして大丈夫?

基本的には無理のない範囲で続けることが推奨されています。ただし疲労や副作用が強い日は休む勇気も必要。「少し物足りない」くらいで止めるのが、長く続けるコツです。担当医・PTと相談しながら進めましょう。

リハビリで「やってはいけない動き」はありますか?

手術後は頭への強い衝撃・無理な前屈・急な体位変換などは避ける必要があります。けいれんの既往がある方は転倒リスクのある動きにも注意。具体的な禁忌は担当医・PTに確認してください。

家族はリハビリにどう関われますか?

「頑張れ」より「今日も動けたね」「ゆっくりでいいよ」の声かけが励みになります。一緒に散歩する・自主トレを見守る・専門職と情報共有するなど、「一緒にいる」だけでも大きな支えになります。

📝 まとめ

この記事のポイント

  • リハビリは「元通りに戻る訓練」ではなく「今日の自分でできる生活を広げること」
  • 時期は急性期(手術直後)→ 回復期(退院後)→ 生活期(在宅・長期)の3つに分かれる
  • 治療中の「がん関連疲労」は医学的な症状。動けない自分を責めなくていい
  • 「少し物足りない」くらいで止めるのが、長く続けるコツ
  • ご家族は「見守る・一緒にいる」だけで、患者にとって大きな力になる

リハビリは終わりのあるゴールではなく、毎日の自分と付き合い続ける営み。焦らず、比べず、自分のペースで。ZUNも同じ道を歩いてきました。きっと大丈夫。

📖 参考文献
  1. Campbell KL, et al. “Exercise Guidelines for Cancer Survivors: Consensus Statement from International Multidisciplinary Roundtable.” Med Sci Sports Exerc. 2019;51(11):2375-2390. PubMed: 31626055
  2. Schmitz KH, et al. “American College of Sports Medicine Roundtable on Exercise Guidelines for Cancer Survivors.” Med Sci Sports Exerc. 2010;42(7):1409-1426. PubMed: 20559064
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス. 「がんとリハビリテーション」. ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/rehabilitation
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス. 「がんに伴う倦怠感(がん関連疲労)」. https://ganjoho.jp/public/support/condition/fatigue.html
⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。リハビリの内容は担当リハビリスタッフ・主治医と必ずご相談ください。