いよいよ始まる、標準治療「Stuppレジメン」。しかし、治療のスタートラインに立つ私の前には、思わぬ障壁が立ちはだかっていました。術後の感染症と、喉の痛み、放射線治療用の“お面”との闘い、そして主治医と相談して決めた12コースに及ぶ抗がん剤治療への決意。身体への負担と希望が交錯する、治療初期の記録です。

治療開始前のトラブル。腐った縫合糸と「お面」の作成

病理診断が終わり、いよいよ放射線治療へ……という矢先、術後の傷口が膿んでいることが判明しました。原因は、なんと縫合糸の腐敗。放射線治療に必要な「お面(シェル)」を作るためには、まずこの感染を治さなければなりませんでした。形成外科で局所麻酔を打ちながらの異物除去。術後の身体に、この処置の痛みはなかなか堪えるものでした。

喉の違和感と滲出液。むせ込みに耐えた10分間

術中の気管挿管の影響か、喉にはずっとイガイガとした痛みが残っていました。放射線治療は、頭部をシェルで完全に固定して行われます。固定された状態で襲ってくる、むせ込むような感覚。さらに感染部位からは滲出液が出るため、シェルをつけるたびにガーゼを当てる処置も必要でした。動けない10分間、身体の不調を堪え忍ぶ時間は、精神的な忍耐を要しました。

抗がん剤「Stuppレジメン」と12コースへの決意

私の受けた治療は、悪性星細胞腫の標準治療である「Stuppレジメン」です←Stuppさんが編み出した治療。放射線治療(1日2グレイ×30回)と並行して、放射線の効果を高めるために毎日少量の抗がん剤を服用しました。

放射線終了後は5日間”テモダール”を内服、23日休薬を挟みながら内服量を増量していくのですが、主治医からは「米国は6コース、日本は12コース行うことが多く、日本の方が成績が良い」という説明がありました。私は迷うことなく、より良い結果を信じて12コース完走することを決意しました。

幼い娘を守るために。家庭内での「抗がん剤曝露」対策

抗がん剤服用中、最も気を使ったのが娘への影響です。体液から成分が出ると薬剤師の方から説明を受けたため、排泄や入浴は分けた方が無難だと聞き、徹底した対策を講じました。トイレは私専用として2階を使用し、お風呂は最後に入るか暖かい日はシャワーのみ。汗をかいた服は別に洗濯するなど、大切な家族を「薬」から守るための工夫を積み重ねました。