人生3度目の手術。これまでは骨折などの外傷でしたが、今回は自分の判断力や注意力を司る「脳・前頭葉」への挑戦です。リハビリのプロとして患者さんを支えてきた私が、いざ「切られる側」に立って感じた不安と、家族の声に導かれた生還の記録です。

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ZUN

理学療法士 × 脳腫瘍グレード3サバイバー

医療者として、そして患者として、両方の視点から脳腫瘍と向き合う方とそのご家族に、少しでも安心できて役立つ情報を届けられるように心がけています。

理学療法士(国家資格・2016年取得)/糖尿病療養指導士
脳卒中・整形外科・消化器・血液内科などのリハビリに従事
研修修了:呼吸器・がんリハビリ

手術・入院・リハビリ・退院後の生活を、臨床知識と実体験ベースでお伝えしています。

🏥 過去2回の手術経験と、今回との決定的な違い

私の人生において、手術室に入るのはこれが3度目でした。小学1年生の時の右腕骨折(滑り台に挟まり…笑)、高校生での左薬指脱臼骨折🏀。

これまでの手術は「壊れた箇所を直す」感覚でしたが、今回は違います。自分の「脳」にメスが入る。リハビリ職として多くの術後患者さんと向き合ってきたからこそ、「また元の元気な姿で家に帰れるだろうか」「後遺症は残るだろうか?」という、理学療法士としての知識と一人の人間としての不安が入り混じっていました。

🧠 右前頭葉腫瘍の摘出術、主治医からの説明

手術の方法は、右の額から耳の上まで頭蓋骨を一時的に取り外し、ガイドピンを用いて正常な組織を傷つけないよう腫瘍を摘出するという、スタンダードなものでした。

私が運ばれた病院には最新鋭の設備はありませんでしたが、先生の説明を聞き、自宅での生活を過ごす中で、少しずつ「もう、やる他ない」と腹を括ることができました。手術前夜には、恐怖を乗り越え、前向きなマインドセットが整いました。

客観的には普通に見えたかも知れませんが、ただ強がっていただけというのは、「しー。」🤫です。

🚪 手術当日、ウォークインからの「まな板の鯉」

手術当日は、てんかん以外には身体の症状が無かった為、自分の足で歩いて手術室へ向かいました。

手術台に上がると、そこからは看護師さんたちの独壇場です。テキパキとした点滴の準備、姿勢の調整、そして麻酔。リハビリの現場では指示を出す側の私も、この時ばかりはプロの仕事に身を委ねる「まな板の鯉」状態になっていました。その手際の良さに安心感を覚えながら、全身麻酔で深い眠りに落ちていきました。

👨‍👩‍👧 家族の声に導かれたICUでの目覚め

6時間に及ぶ手術を終え、意識を取り戻したのは手術室の中でした。

深い闇の中から意識が浮上する際、耳元で私を呼ぶ妻と娘の声が聞こえた気がしました。家族の声に導かれるように目を開けると、執刀医の先生から「無事に腫瘍はすべて摘出できました。見たところ、そこまで悪いものではないと思います」という言葉が。その一言で、私の長い1日は安堵と共に幕を閉じました。

その時も強がって「予定より長かったですね。」が執刀医に言った第一声。今思えば、真っ先に感謝を伝えればよかったと後悔…。

🩺 PT(理学療法士)として、振り返って思うこと

リハビリ職として、私はこれまで何人もの開頭術後の患者さんと関わってきました。「手術頑張ってきますね」と病室で見送り、術後リハビリ室で再会する——それが私の役割でした。

でも、自分が手術室の扉をくぐる側に立って、初めて知ったことがあります。手術前夜の眠れなさ「予定より長かった」と平静を装って強がってしまう気持ち。当事者として通過してみると、これらは決して「気の持ちよう」では片付けられない、深い感情の波でした。

今、患者さんのベッドで術後初めてのリハビリを行うとき、私は業務的ではなく心からの「お疲れ様でした」を言うようになりました。

そして、家族の声が麻酔の闇から私を引き上げてくれたあの感覚は、今でも忘れられません。家族の存在が、医学では測れないところで治療を支えていることを、強く実感した瞬間でした。

※この記事について:本記事は、ZUN個人の実体験に基づいた手記です。開頭手術の方法・所要時間・回復経過は、腫瘍の位置や大きさ、患者さんの状態によって大きく異なります。手術に関するご不安は、必ず担当の脳神経外科医に相談してください。
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ZUN
🩺 理学療法士|脳腫瘍サバイバー|長野県在住 2016年に理学療法士の国家資格を取得し、総合病院の急性期病棟で 脳卒中・整形外科リハビリを担当(糖尿病療養指導士/呼吸器リハ研修・がんリハ研修修了)。 2024年、悪性星細胞腫グレード3を発症。手術・放射線・化学療法を経て 現役で職場復帰。「医療者の知識」と「患者の実体験」の両方から、 脳腫瘍患者さんとご家族の力になる情報を発信しています。 詳細プロフィールは👇https://zunsyuyotaiken.com/profile/