*実際のリハビリは必ず主治医や担当セラピストの指示に従ってください。

脳腫瘍の手術後、「できるだけ早く回復したい」と思う方は多いでしょう。

しかし実際には

  • どのくらい動いてよいのか
  • いつから運動してよいのか
  • 入院中はどう過ごせばよいのか

と悩む患者さんやご家族は少なくありません。

近年では、脳の手術後は早期から身体を動かす「早期離床」やリハビリテーションが重要とされています。

適切な運動を行うことで

  • 筋力低下の予防
  • 合併症の予防
  • 脳機能の回復

につながると考えられています。

この記事では理学療法の視点から

  • 回復を早める早期離床のメリット
  • 術後早期からできる自主トレーニング
  • 高次脳機能へのリハビリ
  • 入院中のおすすめの過ごし方

についてわかりやすく解説します。

回復を早める「早期離床」のメリット

脳腫瘍の手術後は安静も必要ですが、**可能な範囲で早く身体を起こし活動すること(早期離床)**が重要です。

早期離床には次のようなメリットがあります。

筋力低下を防ぐ

長期間ベッドで過ごすと、筋肉は急速に弱くなります。

特に術後は

  • 体力低下
  • 麻痺
  • バランス能力低下

が起きやすいため、早期から身体を動かすことが重要です。

合併症を予防する

長時間の安静は

  • 肺炎
  • 深部静脈血栓症
  • 褥瘡
  • 尿路感染

などの原因になります。

研究では、早期離床を行った患者は肺炎などの合併症が少ない可能性が示されています。

ZUN

私の場合は術後1日から座る→5m程度歩くまで行いました!

脳の回復を促す

脳は使うことで神経ネットワークが再構築されると考えられています。

歩く

座る

体を動かす

といった活動が増えることで、機能回復につながる可能性があります。

神経疾患では発症後24〜72時間以内に早期リハビリを開始することが推奨されています。

術後早期からできる自主トレーニング

病院のリハビリに加えて、自主トレーニングを行うことで回復スピードは大きく変わります。

*必ず主治医やリハビリスタッフの許可を得て行いましょう。

寝ながら足首の運動(血栓予防)

ベッド上でできる簡単な運動です。

やり方

  1. 仰向けで寝る
  2. 足首を手前に曲げる
  3. 足首を下に伸ばす

これを

20回 × 3セット程度行います。

この運動は

  • 血栓予防
  • むくみ改善
  • ふくらはぎの筋力維持

に役立ちます。

イメージトレーニング(運動イメージ)

体を動かすことが難しい場合でも、頭の中で動作をイメージするトレーニングが役立つことがあります。

これを

運動イメージ(モーターイメージ)

と呼びます。

例えば

  • 思い出深いことを思い出し、歩いている自分を想像する
  • 仕事や趣味をしている時のように手を動かす場面を想像する
  • 良い方の手足を動かし、実際には動かさずに同じように動くように想像する。

といった方法です。

実際の研究でも、動作をイメージするだけでも脳の運動に関わる脳やネットワークが活性化することが報告されています。

寝ながら出来るうえに効果があるなんて最高ですよね!

そのため

  • 麻痺がある場合
  • 疲れている場合
  • まだ運動量を増やせない場合

でも取り組めるリハビリとして有効です。

ベッドに座る練習

可能であれば

  • ベッドに座る
  • 椅子に座る

時間を少しずつ増やしていきます。

座る時間が増えることで

  • 体力回復
  • 血圧の安定
  • バランス能力改善

につながります。

まだ起きられない場合は、ベッドの機能で徐々に頭の高さを上げましょう!

立ち上がり練習

立ち上がり動作は、日常生活に直結する重要な動作です。また、転倒の危険もあるので、必ずセラピストの許可を得てから行いましょう。

やり方

  1. 椅子に浅く座る
  2. 足を少し後ろに引く
  3. 前かがみになりながら立ち上がる

最初は

5回 × 2〜3セット

を目安に行います。

立ち上がり練習は

  • 下肢筋力の改善
  • バランス能力の向上
  • 歩行能力の回復

につながる重要なトレーニングです。

入院中におすすめタイムスケジュール

回復を早めるためには、1日の活動量を少しずつ増やすことが大切です。

例としておすすめのスケジュールを紹介します。

時間内容ポイント
7:00起床寝たまま軽い運動
8:00朝食食事はできるだけ頭を上げる
9:00歯磨き/顔拭き両手で行う
10:30病院リハビリPT/OT/ST
12:00昼食頭を上げながら食べる
13:00休憩腹式呼吸でリラックス
14:00病院リハビリPT/OT/ST
15:30自主トレ前述エクササイズ
18:00夕食可能なら椅子で
19:00脳トレパズルや計算
21:00就寝睡眠も回復には大事

無理をする必要はありませんが、少しずつ活動時間を増やすことが回復につながります

まとめ

脳腫瘍の手術後は、回復を早めるために

  • 早期離床
  • 自主トレーニング
  • 高次脳機能への刺激

が重要になります。

特に入院中は、病院でのリハビリだけでなく自主的に体を動かすことが回復スピードに大きく影響します。

主治医やリハビリスタッフと相談しながら、無理のない範囲で活動量を増やしていきましょう。

📚参考文献・引用元

日本リハビリテーション医学会. がんのリハビリテーション診療ガイドライン

国立がん研究センター・がんリハビリテーション