脳腫瘍と告知されたあなたへ。頭が真っ白な時に読んでほしい「心の守り方」と次の一歩

頭が真っ白で、何も考えられない。
そんな状態で、この記事にたどり着いたのかもしれません。
まず、ここまで読んでくれてありがとうございます。
今、あなたが感じているすべての気持ち——怖さ、怒り、悲しさ、混乱——は、ぜんぶ正常な反応です。おかしくないし、弱くないです。この記事は、診断を受けたばかりのあなたと、あなたの大切な家族に向けて書きました。情報よりも先に、気持ちに寄り添うことを大切にしています。
🌊 「告知」の後、心はこんなふうに動く
がんの告知を受けた後の心の変化には、多くの方が共通して経験する3つの段階があることが知られています。「自分だけこんなに動揺している」と思わなくていいんです。これはごく自然な、人間としての反応です。
「まさか」「信じられない」「何かの間違いじゃないか」——頭が真っ白になり、何も考えられない。先生の話が耳に入ってこない。これは大きな衝撃から心を守ろうとする、ごく自然な反応です。今すぐ決断しなくていいです。
現実が少しずつ見えてきて、かえって不安が増してくる時期。眠れない、食べられない、涙が止まらない——こういったことが起きるのも自然なことです。2週間以上続いて日常生活に支障が出るようなら、心の専門家に相談しましょう。
2週間ほどすると、多くの方はだんだん気持ちが落ち着き、「じゃあ何から始めよう」と情報を集めたり、治療の準備を始めたりできるようになります。焦らなくていい。あなたのペースでいい。
「自分の生活が悪かったせいだ」「もっと早く気づけばよかった」と自分を責める方もいます。でも、脳腫瘍は生活習慣や性格とは関係なく発症します。あなたのせいではありません。それだけは、はっきり伝えたいんです。
📋 告知された後、何をすればいい?
「何から手をつければいいかわからない」という方のために、診断直後にやっておくと安心なことをまとめました。全部やらなくていい。できそうなものから、少しずつでいいんです。
- 担当医の説明を録音・メモしておく(許可を取って)。頭が真っ白でも後で聞き返せます
- 一人で聞かない。信頼できる家族や友人と一緒に診察に行きましょう
- 「すぐ決めなきゃ」と焦らない。検査が終わるまで治療方針は決まりません
- セカンドオピニオンを検討してもOK。担当医に「別の医師の意見も聞きたい」と伝えることは失礼ではありません
- がん相談支援センターに連絡してみる。全国の病院にあり、無料・匿名で相談できます
- インターネットの情報を見るときは注意。信頼できる情報源(国立がん研究センター等)を使いましょう
「担当医に失礼かな」と遠慮する方も多いですが、セカンドオピニオンを求めることは患者さんの権利です。「他の先生の意見も聞いてから決めたい」と担当医に伝えれば、紹介状を書いてもらえます。遠慮しなくて大丈夫です。
🫂 一人で抱え込まないで。頼れる場所があります
「こんなことを相談していいのかな」「迷惑をかけたくない」——そう思って一人で抱え込んでしまう方が多いです。でも、あなたのために存在している窓口が、たくさんあります。
- がん相談支援センター全国のがん診療連携拠点病院に設置。無料・匿名で利用OK。その病院にかかっていない方でも相談できます。治療・お金・仕事・気持ちのことまで、なんでも相談できます。
- 緩和ケア外来・精神腫瘍科「緩和ケア」は終末期の方だけのものではありません。診断された直後から利用できます。眠れない、食べられない、不安が続くなどの症状をサポートしてくれます。
- 患者会・ピアサポート同じ経験をしたサバイバーと話すことで、「一人じゃない」と感じられます。がん相談支援センターや国立がん研究センターのウェブサイトから探せます。
- がん情報サービス(無料)国立がん研究センターが運営する、信頼性の高い情報サービス。電話相談窓口もあります(0570-02-3410)。ネット上の不確かな情報に惑わされないためにも活用を。
👨👩👧 家族として「どう接すればいいか」迷っているあなたへ
大切な人が脳腫瘍と診断された。「何をしてあげればいいかわからない」「うかつなことを言ってしまいそうで怖い」——そんな気持ちを抱えているご家族も多いと思います。
ご家族のうつの有病率は約42%、不安の有病率は約46%という報告があります(国立がん研究センター)。「患者さんの前で弱音を吐いてはいけない」と自分を押し殺しているご家族が多いですが、あなたが感じるつらさも本物です。ご家族自身もサポートを受ける権利があります。
患者さんへの接し方で、一番大切なことは意外とシンプルです。
- 「そばにいる」だけで伝わります。うまい言葉は要りません
- 話を聞くとき、否定しないで。「大丈夫だよ」より「そうだよね、怖いよね」が響くことも
- 解決しようとしなくていい。ただ聞くだけで十分なことが多いです
- 「頑張れ」は使いすぎないように。すでに十分頑張っている患者さんへの言葉には注意を
- 診察に付き添い、メモを取る。患者さんが聞けなかったことを代わりに聞いてあげられます
- あなた自身の時間も作って。家族が倒れたら元も子もない。あなたも大切にしてください
告知された日のことを、正直に書きます
「グリオーマグレード3です」と告げられた瞬間、僕は先生の顔を見て冗談でしょと笑って誤魔化していました。何を言われたのかは、処理しきれなかったし、受け入れがたかった。
PTとして患者さんの気持ちを支えてきたはずの自分が、いざ自分が患者になると、ただ茫然とするしかなかった。「なんで自分が」とも思った。「何が悪かった」とも思った。
でも今振り返って思うのは、その感情は全部、正しかった、ということです。おかしくなかった。弱かったわけじゃなかった。
あなたが今感じているすべての気持ちも、正しい。それだけ伝えたくて、この記事を書きました。一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。一つの病院で不安な場合は、セカンドオピニオンも積極的に使いましょう。
🌱 少し落ち着いたら、次に知っておきたいこと
気持ちが少し落ち着いてきたら、治療についての情報を少しずつ集めていきましょう。焦らなくていい。でも、知っておくと安心できることがあります。
- 腫瘍の種類・グレード(悪性度)は何か?
- どんな検査がこれから必要か?
- 治療の大まかなスケジュールはどうなるか?
- 治療中、仕事・家事・育児はどうしていけるか?
- 使える社会制度・助成はあるか?(高額療養費制度など)
これらは、がん相談支援センターや担当医に聞けば、一つひとつ丁寧に教えてもらえます。全部を一度に把握しようとしなくていいです。
❓ よくある質問(FAQ)
告知後、どうしても眠れません。受診すべき?
不眠が2週間以上続く場合は、担当医・緩和ケア外来・精神腫瘍科に相談を。睡眠不足は治療への取り組みにも影響します。「眠れない」と伝えるだけで、適切な薬や対処法を提案してもらえます。我慢する必要はありません。
家族・職場に、どこまで話せばいい?
すべて話す必要はありません。あなたが話したい範囲・話したい相手にだけ伝えれば大丈夫。職場にも「治療のため通院が必要」と伝える程度から始められます。話す内容に迷ったら、がん相談支援センターのMSWが一緒に整理してくれます。
セカンドオピニオンは担当医に失礼ではない?
いいえ、セカンドオピニオンは患者の正当な権利です。多くの担当医が快く紹介状や画像データを提供してくれます。「納得して治療を受けたい」という気持ちは、治療の質を高める大切な姿勢です。
ネットで悪い情報ばかり見てしまう。どうしたら?
告知直後の検索は個人ブログ・SNSは避け、公的機関のサイト(国立がん研究センターなど)に絞るのが鉄則です。同じ病名でも腫瘍の種類・グレード・体質で経過は大きく違います。「他の人の話=あなたの未来」ではありません。
治療費が心配。誰に相談すればいい?
病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に早めに相談を。高額療養費制度・自立支援医療・傷病手当金など使える制度がたくさんあります。MSWは無料で全制度を整理してくれます。
📝 まとめ
この記事のポイント
- 告知後の衝撃・混乱・不安・落ち込みはすべて自然な反応。あなたは弱くない
- 多くの方は2週間ほどで気持ちが落ち着き始める。焦らなくていい
- 診断直後は「録音・メモ・一人で決めない・セカンドオピニオン検討・MSW相談」
- 頼れる窓口はがん相談支援センター・緩和ケア・患者会・がん情報サービスの4つ
- ご家族のうつ・不安は40%以上。家族自身もケアを受ける権利がある
- 家族が患者にできる一番のことは「そばにいる」「話を聞く」こと
告知された日の感情は、忘れないものです。でも、その感情は正しかったと、いつか必ず思える日が来ます。ZUNも同じ道を通って、今があります。一緒に、一歩ずつ前を向いていきましょう。
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 「がんと心」. https://ganjoho.jp/public/support/mental_care/mc01.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 「家族ががんと診断されたとき」. https://ganjoho.jp/public/support/family/fam/fam02.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 「がん相談支援センター」. https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/content.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 「緩和ケア」. https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/relaxation/index.html
- 日本サイコオンコロジー学会(JPOS). 「がん患者さんとご家族のこころのサポートチーム」. https://support.jpos-society.org/manual/
- Cancernet.jp. 「告知を受けたとき」. https://www.cancernet.jp/seikatsu/mind/mental/announcement/
- Cancernet.jp. 「告知を受けてから〜治療を決心するまで」. https://www.cancernet.jp/seikatsu/mind/mental/decision/
- 小野薬品工業. 「家族も大切な対象者 がん治療に向き合うためのこころのケア(松岡弘道先生)」. https://p.ono-oncology.jp/support/family_life/01_advice/01.html
- Geng HM, et al. “Prevalence and Determinants of Depression in Caregivers of Cancer Patients.” Medicine. 2018;97(39):e11863. PubMed: 30278592
- MSD oncology. 「がん治療中の患者と家族の心のケア」. https://www.msdoncology.jp/mentalcare/











