脳腫瘍手術後、回復を早める運動と入院中の過ごし方

- 「早期離床」が回復を早める理由と具体的なメリット
- 術後早期からできる自主トレーニング4種類
- 入院中のおすすめタイムスケジュール(時間別)
- ZUNが実際に術後に取り組んだ体験談
脳腫瘍の手術後、「できるだけ早く回復したい」と思う方は多いでしょう。しかし実際には、どのくらい動いてよいのか、いつから運動してよいのか、入院中はどう過ごせばよいのかと悩む患者さんやご家族は少なくありません。
近年の研究では、脳の手術後は早期から身体を動かす「早期離床」やリハビリテーションが重要とされています。適切な運動を行うことで、筋力低下の予防・合併症の予防・脳機能の回復につながると考えられています。
この記事では理学療法士(PT)の視点から、回復を早める早期離床のメリット、術後早期からできる自主トレーニング、入院中のおすすめの過ごし方についてわかりやすく解説します。
回復を早める「早期離床」のメリット
脳腫瘍の手術後は安静も必要ですが、可能な範囲で早く身体を起こし活動すること(早期離床)が回復への近道です。術後早期(24〜48時間以内)からの離床を目標に取り組むことが、現在の医療標準となっています。
私(ZUN)の場合は術後1日目から座る練習をはじめ、3〜4日目には5m程度の歩行練習まで進みました。最初は頭がふわふわして不安でしたが、「動いてよいのだ」とわかると回復への意欲がぐっと高まりました。
麻痺の残っている手足については、実際に動かせない日でも「運動イメージ(頭の中でイメージするトレーニング)」を活用して、少しでも脳への刺激を送るよう意識していました。
術後早期からできる自主トレーニング
病院でのリハビリに加えて、自主トレーニングを行うことで回復スピードは大きく変わります。以下の4種類はベッド上や病室でできるものです。
ベッド上でできる最もシンプルな運動です。
- 仰向けで寝る
- 足首をゆっくり手前に曲げる(背屈)
- 足首をゆっくり下に伸ばす(底屈)
- これを 20回 × 3セット 繰り返す
体を動かすことが難しい場合でも、頭の中で動作をイメージするだけで脳の運動関連ネットワークが活性化することが研究で報告されています。
- 歩いている自分を鮮明にイメージする
- 仕事や趣味をしているときの手の動きを想像する
- 麻痺のない方の手足を動かしながら、麻痺側も同様に動かすイメージをする
まだ起き上がれない場合は、まずベッドの背もたれを少しずつ高くするところから始めましょう。
- ベッドの角度を少し上げ、上半身を起こす(30°→45°→60°と段階的に)
- 慣れてきたらベッドの端に腰掛ける「端座位(たんざい)」を行う
- 座る時間を少しずつ延ばしていく(最初は5〜10分から)
- 椅子に浅く腰掛ける
- 足を少し後ろに引く
- 前かがみになりながらゆっくり立ち上がる
- 5回 × 2〜3セット を目安に行う
入院中のおすすめタイムスケジュール
回復を早めるためには、1日の活動量を少しずつ増やすことが大切です。以下はあくまでも一例です。主治医・リハビリスタッフと相談しながら、自分のペースで調整してください。
| 時間 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 7:00 | 起床 | 寝たまま軽い運動(足首運動など) |
| 8:00 | 朝食 | できるだけ頭を上げた姿勢で |
| 9:00 | 歯磨き・顔拭き | できれば両手で・鏡を使う |
| 10:30 | 病院リハビリ | PT・OT・ST(担当セラピストと) |
| 12:00 | 昼食 | 頭を上げながら・椅子でできれば |
| 13:00 | 休憩 | 腹式呼吸でリラックス |
| 14:00 | 病院リハビリ | PT・OT・ST(2回目がある日) |
| 15:30 | 自主トレ | 前述の運動・運動イメージなど |
| 18:00 | 夕食 | 可能なら椅子・端座位で |
| 19:00 | 脳トレ | パズル・計算・好きなことを楽しむ |
| 21:00 | 就寝 | 睡眠も回復に欠かせない |
💡 無理をする必要はありません。体調が優れない日は休むことも回復の一部です。少しずつ活動時間を増やすことを目標にしましょう。
まとめ
脳腫瘍術後の回復を早めるために
- 術後早期(24〜48時間以内)からの離床・活動が、現在の医療標準
- 足首運動・運動イメージ・座る練習・立ち上がりの4つを段階的に取り組む
- 病院リハビリ+自主トレを組み合わせることで回復スピードが変わる
- 1日のスケジュールを意識して、少しずつ活動量を増やす
- すべての運動は主治医・リハビリスタッフの許可・指示のもとで行う
脳腫瘍の手術後の入院生活は、不安や焦りとの戦いでもあります。「正しく動くこと」が「回復への近道」であることを知っておくだけで、気持ちが少し楽になるかもしれません。主治医やリハビリスタッフと相談しながら、無理のない範囲で取り組んでいきましょう。
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📚 参考文献・引用元
- 日本リハビリテーション医学会. 「がんのリハビリテーション診療ガイドライン 第2版」2019年. https://www.jarm.or.jp/
- 国立がん研究センター. 「がんとリハビリテーション医療」2023年. https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/rehabilitation/index.html
- Shinoura N, et al. “Early mobilization in postoperative glioma patients: a multi-center retrospective study.” Scientific Reports. 2025;15:8291. https://www.nature.com/articles/s41598-025-01871-w
- Köseoğlu BF, et al. “Functional State and Rehabilitation after Primary Brain Tumor Surgery: A Retrospective Analysis.” Cancers (Basel). 2023;15(5):1413. PMC10217089
- Rønning PA, et al. “Early medical rehabilitation after neurosurgical treatment of malignant brain tumours: a randomised controlled trial.” BMJ Open. 2016;6(11):e012217. PMC4852966
- Arya KN, et al. “Motor Imagery-Based Rehabilitation: Neural Correlates and Clinical Application in Stroke.” Frontiers in Neurology. 2017;8:436. PMC5440115
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- 国立がん研究センター中央病院. 「手術の合併症を減らし回復を早めるリハビリ指導」サポーティブケアチーム. https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/support/staff_interview/002/index.html











