「🫨ふらつく・尿が漏れる・疲れやすいのは私だけ?」術後トラブル解消エクササイズ方法🏃♂️

⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが作成した情報提供記事です。運動の開始・内容・強度は必ず担当医や理学療法士にご確認ください。痛みや強い疲労があるときは無理せず中止してください。
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脳腫瘍の術後に弱りやすい6つの筋肉——なぜ動けなくなる?PT(理学療法士)が解説
💪 この記事でわかること
- 6つの筋肉それぞれの、自宅でできるリハビリ運動(各2〜3種)
- 各運動の強度・回数・頻度の目安(PT監修)
- 痛みや疲労が出たときの対処法・注意点
- 1週間の運動スケジュール例
⚠️ 運動を始める前に必ず確認してください
⚠️ 以下の場合は運動を避け、主治医・PTに相談してください
- 術後まだ安静が必要な時期(担当医の許可前)
- 強い頭痛・めまい・吐き気があるとき
- 発熱(37.5℃以上)があるとき
- 運動中に手足のしびれ・脱力が急に強くなったとき
- 骨や関節に痛みがあるとき(ステロイドによる骨粗鬆症に注意)
- 深部静脈血栓症(DVT)の診断・疑いがあるとき
以下の運動は「座位・臥位から始められる低負荷のもの」を中心に選んでいます。退院直後や体力が落ちている時期でも取り組みやすい内容です。徐々に回数・強度を上げていきましょう。
🦵 1. 大腿四頭筋(太ももの前)を鍛える
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🦵 大腿四頭筋 立つ・歩くの主役

太ももの前面にある最大筋群。立ち上がり・歩行・階段動作のすべてに関わります。術後最も早く弱りやすく、ここを鍛えることが日常生活回復の第一歩です。
💡 目標:椅子から手を使わずに立ち上がれる → 5回連続を目標に
A
座位での膝伸展(シーテッド・レッグエクステンション)
- 椅子に深く座り、背もたれに背中をつける
- 片方の足をゆっくり水平まで上げ、膝を完全に伸ばす
- 2〜3秒キープして、ゆっくり下ろす
- 左右交互に行う
足を上げるときに腰が曲がらないよう注意。股関節に痛みがある場合は中止してください。
B
椅子スクワット(立ち座り運動)
- 椅子の前端に浅く座り、両手を膝の上に置く
- 体をやや前傾させ、お尻を持ち上げるようにゆっくり立ち上がる(3秒かけて)
- 完全に立ったら1秒止まる
- ゆっくり3秒かけて椅子に戻る(ドスンと座らない)
膝が内側に入らないよう注意(つま先と同じ方向に向ける)。最初は手すりや壁を使って安全に行ってください。
🍑 2. 大臀筋・中臀筋(お尻の筋肉)を鍛える
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🍑 大臀筋・中臀筋 歩行安定・骨盤保持

お尻の筋肉。特に中臀筋が弱ると歩くときに体が横に傾きます。骨盤を水平に保ちながら歩くために欠かせない筋肉です。
💡 目標:片脚で10秒以上バランスを保てる → 転倒予防に直結
A
ブリッジ(仰向けお尻上げ)
- 仰向けに寝て、膝を曲げて足を床につける(足幅は腰幅)
- お尻をゆっくり持ち上げ、肩〜膝が一直線になるまで上げる
- 3〜5秒キープする(お尻を絞るイメージで)
- ゆっくり下ろす
首に痛みがある場合は行わないでください。腰を上げすぎないよう注意。
B
横向き脚上げ(サイドライイング・レッグレイズ)
- 横向きに寝て、体が一直線になるよう揃える
- 上の足をまっすぐのまま、床から約30〜40cm上げる(つま先は正面を向く)
- 2〜3秒キープしてゆっくり下ろす
- 左右10回ずつ行う
🚶 3. 腸腰筋(股関節屈曲)を鍛える
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🚶 腸腰筋 足を前に出す・すり足防止

股関節の前側にある深層筋。「足を前に振り出す」動作の主役で、すり足歩行やつまずきの予防に直結します。座ったままでも効果的に鍛えられます。
💡 目標:歩くときに足が自然に前に出せる → 歩幅が広がる
A
座位での膝上げ(ニーレイズ)
- 椅子に座り、背筋を伸ばす(背もたれに頼りすぎない)
- 片膝をゆっくりお腹の方向に引き上げる(太ももが床と水平以上になるまで)
- 2〜3秒キープする
- ゆっくり下ろす。反対側を行う
B
立位での足踏み(ハイニーマーチ)
- 壁や手すりを持ち、しっかり立つ
- ゆっくり片足を高く上げる(膝が腰の高さまで来るのが理想)
- そのまま1〜2秒止める
- ゆっくり下ろして、反対の足を上げる。交互にリズムよく行う
バランスが不安な場合は必ず支持物を使ってください。
🏋️ 4. 腹横筋・多裂筋(体幹インナー)を鍛える
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🏋️ 腹横筋・多裂筋 体幹の天然コルセット

体の深部にある「コルセット筋」。外からは見えませんが、姿勢・腰痛・バランスに直結します。強い力は必要なく、「意識して活性化する」ことが大切です。
💡 コツ:「お腹を薄くして体の中心を引き締める」感覚を掴む
A
ドローイン(腹横筋の活性化)
- 仰向けに寝て(または椅子に座って)リラックスする
- 鼻からゆっくり息を吸う
- 口から息を細く吐きながら、おへその下を「背骨の方向へ」ゆっくり引き込む(10秒以内で)
- 息を止めずに5〜10秒キープする
- ゆっくりお腹を元に戻す
B
バードドッグ(体幹安定+四肢協調)
- 四つ這い姿勢になる(手首が肩の真下・膝が股関節の真下)
- ドローインで体幹を固める
- 右腕を前に・左脚を後ろに同時にゆっくり伸ばす(体が傾かないよう注意)
- 3〜5秒キープしてゆっくり戻す
- 反対側(左腕・右脚)を行う
体が大きく傾く場合は、まず片腕のみ・片脚のみから始めてください。手首に痛みがある場合は行わないでください。
🌸 5. 骨盤底筋群を鍛える
5
🌸 骨盤底筋群 排泄コントロール・体幹の土台

骨盤の底を支える筋肉群。「どこを動かすか分かりにくい」のが特徴ですが、排尿・排便のコントロールと体幹安定に欠かせません。静かに・集中して行う練習が効果的です。
💡 コツ:「おしっこを途中で止める」感覚で締める(実際には排尿中は行わない)
A
ケーゲル体操(骨盤底筋トレーニング)
- リラックスした姿勢をとる(仰向け・座位・立位のいずれでも可)
- 「肛門・膣(女性)・尿道」を同時に「上・内向きに」締める(お尻・太もも・お腹には力を入れない)
- 3〜5秒キープする(最終的に10秒を目標に)
- ゆっくり完全に力を抜く(この「緩める」動作も重要)
- 10秒休んで繰り返す
排尿中に途中で止める練習は行わないでください(尿路感染リスク)。尿漏れが改善しない場合は骨盤底専門PTに相談を。
B
クイックフリック(速い収縮で反応性を高める)
- 骨盤底筋を意識する(ケーゲル体操の感覚を思い出す)
- 「ギュッ・パッ・ギュッ・パッ」と素早く収縮・弛緩を繰り返す(1秒ごとに)
- 10回1セット。完全に緩める休憩を入れる
🦶 6. 下腿三頭筋(ふくらはぎ)を鍛える
6
🦶 下腿三頭筋 歩行の蹴り出し・DVT予防

ふくらはぎの筋肉。歩くときの蹴り出し力と、血液を心臓へ送り返すポンプ機能を担います。術後早期からベッドで動かせる筋肉でもあります。
💡 術後すぐから始められる:仰向けでの足首運動でDVT予防にも
A
足首の底背屈運動(アンクルポンプ)
- 仰向け(またはベッドに座って)、足を伸ばした状態にする
- つま先を「上・下」にゆっくり動かす(底屈→背屈→底屈の繰り返し)
- 「上げる・下げる」を1秒ずつ行う
- 両足同時でも交互でもOK
B
カーフレイズ(つま先立ち運動)
- 壁や手すりに軽く手を添えて立つ
- かかとをゆっくり上げる(つま先立ち)・3秒かけて上げる
- 最高点で1〜2秒止める
- ゆっくり3秒かけてかかとを下ろす
バランスが不安な場合は両手で手すりをしっかり持ってください。転倒に十分注意してください。
📅 1週間の運動スケジュール例
以下はあくまでも参考例です。体の状態・疲労感に合わせて柔軟に調整してください。
📅 退院後〜1ヶ月の週間スケジュール例
| 曜日 | メイン運動 | 毎日続ける運動 |
|---|---|---|
| 月曜日 | 大腿四頭筋(A・B)+中臀筋(A) | アンクルポンプ・ドローイン・ケーゲル |
| 火曜日 | (軽めの日)腸腰筋 A + ドローイン | アンクルポンプ・ケーゲル |
| 水曜日 | 体幹インナー(A・B)+中臀筋(B) | アンクルポンプ・ドローイン・ケーゲル |
| 木曜日 | (休息日)散歩5〜10分のみ | アンクルポンプ・ケーゲル |
| 金曜日 | 大腿四頭筋(A・B)+腸腰筋(B) | アンクルポンプ・ドローイン・ケーゲル |
| 土曜日 | カーフレイズ+バードドッグ | アンクルポンプ・ケーゲル |
| 日曜日 | 完全休養(またはゆっくりストレッチのみ) | アンクルポンプ・ケーゲル |
ZUNより(脳腫瘍サバイバー・理学療法士PT) 「できない」より「今日はここまでできた」を積み重ねる
PTとして患者さんに「回数より継続」と伝えてきましたが、自分が患者になって改めてその意味を理解しました。術後は、椅子スクワットを数回するだけで翌日に疲労感が残りました。「これで本当に回復するのか」と不安になることも。
でも神経可塑性の原則(第3回記事)でも紹介したとおり、脳と筋肉は少しずつの積み重ねで変わります。1日5回でも10回でも、毎日続けることで2週間後・1ヶ月後には確実に変化が現れます。
特に骨盤底筋のケーゲル体操は、「地味で効果が感じにくい」ですが、4週間続けた頃から「尿のキレがよくなった。」という気づきがありました。ぜひ根気よく続けてください。
⚠️ 本記事の運動はあくまでも参考情報です。個人の回復状態・術後の状態・合併症によって適切な運動は異なります。必ず担当医・理学療法士にご相談のうえ、安全な範囲で行ってください。
📚 参考文献
- Schmitz KH, et al. “Exercise Guidelines for Cancer Survivors: Consensus Statement from International Multidisciplinary Roundtable.” PMC8576825. Med Sci Sports Exerc. 2021. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8576825/
- Blanchard CM, et al. “Initiating Exercise Interventions to Promote Wellness in Cancer Patients and Survivors.” PMC6361522. Oncologist. 2018. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6361522/
- Stout NL, et al. “Resistance Training for Patients with Cancer: A Conceptual Framework for Maximizing Strength, Power, and Functional Mobility.” PubMed36175646. Semin Oncol Nurs. 2022. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36175646/
- Strasser B, et al. “Resistance Exercise and Skeletal Muscle-Related Outcomes in Patients with Cancer: A Systematic Review.” PubMed38650124. 2024. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38650124/
- Yoshida T, et al. “Resistance exercise training improves disuse-induced skeletal muscle atrophy in humans: a meta-analysis.” PMC11806896. 2025. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11806896/
- Wall BT, et al. “Mitigating disuse‐induced skeletal muscle atrophy in ageing: Resistance exercise as a critical countermeasure.” PMC11442788. J Physiol. 2024. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11442788/
- English KL, et al. “Skeletal Muscle Disuse Atrophy and the Rehabilitative Role of Protein in Recovery from Musculoskeletal Injury.” PMC7360452. Nutrients. 2020. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7360452/
- Piil K, et al. “Intensive Rehabilitation Therapy Following Brain Tumor Surgery: A Pilot Study.” PMC6509576. Front Oncol. 2019. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6509576/
- Frawley HC, et al. “Pelvic floor rehabilitation in cancer survivors.” PMC11550129. 2024. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11550129/
- 日本脳腫瘍学会「脳腫瘍診療ガイドライン」Mindsガイドラインライブラリ. https://minds.jcqhc.or.jp/





