⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。診断・治療の代替ではありません。気になる症状は必ず医師・PT(理学療法士)にご相談ください。
📋 このページでわかること
  • 転倒リスクを自分でチェックできる10項目リスト
  • 「要注意」「今すぐ対処」の判定基準
  • チェック結果別の次のステップ
  • 脳腫瘍サバイバーが特に注意すべき転倒の危険サイン

「最近ちょっとふらつく気がするけど、大したことないかな…」

脳腫瘍の治療後、そんな気持ちで転倒のサインを見逃してしまっている方は少なくありません。しかし、転倒は骨折→長期入院→機能低下という深刻な負のサイクルを引き起こす可能性があります。

このページのチェックリストで、あなたの転倒リスクを今すぐ確認しましょう。

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ZUN

理学療法士 × 脳腫瘍グレード3サバイバー

医療者として、そして患者として、両方の視点から脳腫瘍と向き合う方とそのご家族に、少しでも安心できて役立つ情報を届けられるように心がけています。

理学療法士(国家資格・2016年取得)/糖尿病療養指導士
脳卒中・整形外科・消化器・血液内科などのリハビリに従事
研修修了:呼吸器・がんリハビリ

手術・入院・リハビリ・退院後の生活を、臨床知識と実体験ベースでお伝えしています。

📝 転倒リスクセルフチェック10項目

以下の項目を読んで、当てはまるものをカウントしてください。(ページ下部で結果を判定します)

1

過去1年以内に転倒した経験がある

「転んだ」「転びそうになった」「何かにつかまって倒れるのを防いだ」経験があれば該当します。1回でも過去の転倒歴は最も強力な転倒予測因子の一つです。

⚠️ 高リスク因子
2

暗い場所でのふらつきや不安感がある

夜中のトイレ、薄暗い廊下や部屋で「怖い」「不安定」と感じる場合、固有感覚・前庭覚に問題がある可能性があります。視覚補助なしでのバランス維持が困難なサインです。

⚠️ 高リスク因子
3

段差・階段でつまずきやすくなった

以前は問題なかった段差や階段でつまずく場合、前脛骨筋(すね前の筋肉)の弱化や足関節背屈制限が考えられます。「つまずき=転倒の前兆」と捉えてください。

⚠️ 高リスク因子
4

片脚立ちが5秒以上できない

壁に手をつかずに片脚立ちを5秒以上保てない場合、バランス機能の有意な低下が示唆されます。健常者の目安は60代で12秒以上とされています。

⚠️ 高リスク因子
5

足裏のしびれ・感覚鈍麻がある

足の裏が「ぼわっとする」「じんじんする」「感覚がにぶい」場合、末梢神経障害(化学療法・放射線が原因の場合も)による固有感覚の低下が起きているサインです。

⚠️ 高リスク因子
6

歩行時に左右にふらつく・まっすぐ歩けない

廊下の真ん中を歩けない、壁に当たりそうになる場合は小脳・前庭系の問題や中臀筋弱化(トレンデレンブルグ歩行)の可能性があります。

⚠️ 高リスク因子
7

頭を動かすとめまい・ふらつきが起きる

振り向く・上を向く・起き上がるときにめまいやふらつきが起きる場合、前庭系(内耳・前庭核)の機能低下が疑われます。BPPV(良性発作性頭位めまい症)が合併している場合もあります。

⚡ 中リスク因子
8

睡眠薬・抗てんかん薬・抗不安薬を服用している

これらの薬は平衡感覚・反応速度に影響を与え、特に服薬後や夜間の転倒リスクを高めます。複数の薬を服用している(ポリファーマシー)場合はさらに注意が必要です。

⚡ 中リスク因子
9

最近3か月で体重が3kg以上減った・急に疲れやすくなった

急激な体重減少・倦怠感の増加は筋肉量の低下(サルコペニア)のサインである可能性があります。筋肉量の減少はバランス能力・転倒リスクに直結します。

⚡ 中リスク因子
10

椅子からの立ち上がりに手すりが必要になった

以前は手をつかずに立ち上がれたのに、今は難しくなった場合は大腿四頭筋・中臀筋の筋力低下のサインです。TUGテスト(椅子から立ち上がり3m歩いて戻る)が12秒以上の場合も転倒リスクとされます。

⚡ 中リスク因子

📊 チェック結果の見方

🔴

4個以上 → 高リスク:今すぐ専門家に相談を

転倒リスクが高い状態です。主治医またはPT(理学療法士)に転倒リスクについて相談してください。特に項目1〜6のうち複数が該当する場合は、転倒予防の専門的なリハビリプログラムの検討をお勧めします。自宅の環境整備(手すり設置・段差解消)も並行して進めましょう。

🟡

2〜3個 → 中リスク:予防的なケアを始めよう

転倒のリスクが高まっています。転倒予防エクササイズ(カーフレイズ・タオルギャザー・片脚立位)を日常に取り入れましょう。次回の外来受診時に転倒についての懸念を主治医に伝えることもお勧めします。

🟢

0〜1個 → 低リスク:予防として継続しよう

現在のリスクは低めです。しかし脳腫瘍の治療後は状態が変化しやすいため、定期的にこのチェックリストで確認することをお勧めします。予防的なバランストレーニングを続けることで、現状を維持・向上させましょう。

🌿 ZUN体験談|脳腫瘍サバイバー × PT

「退院直後の私は、このチェックで3項目が当てはまっていました」

私は、判断力の低下に加え、後遺症の軽度の左麻痺がありました。チェック項目では「階段の躓き」「左脚での片足立ちが5秒」「頭を動かした際のめまい」がありました。

転倒対策に真剣に向き合うようになったのは、1年間で体重が5キロ減って足腰に自信がなくなり、何もないところで躓く回数が増えたから。最初は「気のせい」と思っていましたが、確実に状態は変化していました。

PTとして、そして当事者として断言できます。転倒リスクは早めに把握して対策を取るほど、生活の質を守れます。このチェックリストが、あなたが動き出すきっかけになれば嬉しいです。

❓ よくある質問

「転びそうになっただけ」もカウントしていいですか?

はい、カウントしてください。「壁に手をついて転倒を防いだ」「家具をつかんで踏みとどまった」も将来の転倒リスクを示す重要なサインです。「転びそう」は「転んだ」と同じ重みで考えるのが転倒予防の鉄則です。

高リスク判定でも、自分でできることはありますか?

あります。まず環境整備(手すり・段差解消・夜間照明)から始めてください。エクササイズは医療者の指導下で安全に進める必要があります。一人で激しい運動を始めるより、主治医・PT(理学療法士)と相談しながら進めるのが回復への近道です。

どのくらいの頻度でチェックすればいいですか?

3か月に1回の定期チェックがおすすめです。脳腫瘍の治療後は体調が変化しやすいため、季節の変わり目や治療内容の変更時にも見直しましょう。「今月の自分」「3か月前の自分」を比較できると、変化に気づきやすくなります。

家族にもチェックしてもらった方がいい?

はい、家族の客観的な視点が貴重です。本人が自覚していない「最近、廊下を歩く時に少しふらついている」「立ち上がる時に時間がかかる」などのサインに気づいてくれることがあります。家族とこのチェックリストを一緒に確認することをおすすめします。

転倒した時、どこに連絡すればいいですか?

頭を打った場合はすぐに担当医または救急に連絡してください(脳腫瘍治療中は重症化リスクが高いため)。打撲のみで動ける場合も、定期受診時に必ず報告を。「軽い転倒だから」と自己判断せず、医療チームに伝えることが安全管理の基本です。

📝 まとめ|転倒リスクは「早期発見・早期対策」が鍵

この記事のまとめ

  • 10項目セルフチェックで自分の転倒リスクを客観的に把握できる
  • 4個以上=高リスク。主治医・PT(理学療法士)に相談を。環境整備+専門的リハビリの検討を
  • 「転びそうになった」も転倒と同じ重みでカウントするのが鉄則
  • 定期チェック(3か月毎)で変化を早く捉えることが予防の核心
  • 家族の視点も借りる。本人より周囲が先に気づくサインも多い

📖 参考文献

  1. National Brain Tumor Society. “Improving Balance and Fall Prevention for Patients with Brain Tumors.” https://braintumor.org/news/improving-balance-and-fall-prevention-for-patients-with-brain-tumors/
  2. Falls among geriatric cancer patients: a systematic review and meta-analysis of prevalence and risk across cancer types. BMC Geriatrics. 2025. https://link.springer.com/article/10.1186/s12877-025-05722-1
  3. Scoping Review: Falls experienced by adult cancer survivors. Disability and Rehabilitation. 2024. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/09638288.2024.2362399
  4. ChoosePT. “Cancer-Related Balance and Falls: What You Should Know.” https://www.choosept.com/health-tips/cancer-related-balance-falls-you-should-know
  5. Physiopedia. “Cancer Rehabilitation and the Importance of Balance Training.” https://www.physio-pedia.com/Cancer_Rehabilitation_and_the_Importance_of_Balance_Training
  6. Khan F, et al. “Rehabilitation of motor dysfunction in primary brain tumor patients.” 2019. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6664613/
  7. Hayashi K, et al. “The Effects of Changes of Ankle Strength and Range of Motion According to Aging on Balance.” 2013. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3604218/
  8. 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ18 転倒予防」. https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/handbook18_whole_compressed.pdf
  9. 健康長寿ネット「地域高齢者における転倒予防対策の現状と今後の課題」. https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koreisha-tento-kossetsu-yobo/chiikikoreisha-tentoyobotaisaku.html
  10. Mechanism-Driven Strategies for Reducing Fall Risk in the Elderly: A Multidisciplinary Review. 2024. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11641686/
  11. Podsiadlo D, Richardson S. “The timed ‘Up & Go’: a test of basic functional mobility for frail elderly persons.” J Am Geriatr Soc. 1991;39(2):142-148. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1991946/
  12. 厚生労働省「介護予防マニュアル(運動器の機能向上)」. https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/tp0501-1.html
⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。診断・治療の代替ではありません。チェックで高リスクと判定された場合は、必ず主治医・PTにご相談ください。