救急車で運ばれた先は、真夜中の独特な空気の流れる救急救命センター。なんとなく嫌な予感はしましたが、案の定告げられたのは、「脳の影」。私の人生で最も長く、そして最も静かな「闘病の1日」が始まりました。

救急救命センター、深夜のCT検査

病院に到着してすぐ、意識がまだ完全にはっきりしない中でCT検査を受けました。

運ばれてきた私を待っていたのは、医師からの淡々とした、けれど重みのある一言でした。

「右前頭葉(みぎぜんとうよう)に影があります」

その瞬間はまだ、自分の身に何が起きているのか実感が湧きませんでした。脳腫瘍は中高年の男性に多いと勉強していたので、「まさか私の脳に腫瘍!?」と、ぼんやりしながらも困惑したのを覚えています。

人生初の入院と、確定診断への階段

その夜はそのまま緊急入院となり、私の人生で初めての「入院生活」が幕を開けました。翌日には、より詳しく調べるための造影MRI検査が行われました。

狭い機械の中で響く、工事現場の様な音を聞きながら、頭の中は不安と期待が入り混じっていました。そして検査の結果、ついに「右前頭葉脳腫瘍」という診断が確定したのです。

外科医の言葉

脳外科の主治医からは、画像を見ながら詳しい説明を受けました。

「通常の脳の組織と、腫瘍の部分の境界が比較的はっきりしています。これなら、おそらく悪性度はそこまで高くない(グレードが低い)ものではないでしょうか」

かすかな希望

主治医の言葉に、絶望の中に一筋の光が見えたような気がしました。手術は避けられない。けれど、悪性でないならば、きっと大丈夫。そう自分に言い聞かせていました。しかし、どうしても安心材料が欲しくて、何度も何度もインターネットで「脳腫瘍 余命」や「脳腫瘍 悪性 予後」等調べていました。手術までの日取りは、ポジティブな記事を繰り返して読み、不安を払拭する日々を過ごしていました。