⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。医学的情報の提供を目的としており、診断を確定するものではありません。詳細な内容は主治医・医療スタッフとご相談ください。

「入院はどれくらい続くの?」「仕事や家族の生活はどうなる?」——脳腫瘍と診断された時、誰もが不安に思う疑問です。

脳腫瘍の入院期間は、腫瘍の場所・大きさ・悪性度、手術方法、術後の合併症、家庭環境などによって個人差が大きく、一概に「〇週間」と断言できるものではありません。それでも、大まかな流れを知っておくだけで、不安はずいぶん和らぎます。

この記事では、PT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーのZUNが、手術を受ける場合を中心に、入院から退院までの流れとリハビリの内容をわかりやすくお伝えします。

📋 このページでわかること

✅ 脳腫瘍手術の入院期間の目安(手術あり・なし・合併症あり)

✅ 手術前に行われる検査の種類と目的

✅ 手術後の回復の一般的な流れ(ICU〜一般病棟〜退院)

✅ リハビリ(PT・OT・ST)がいつ・何のために始まるか

✅ 退院の目安と退院後に続く治療・ケア

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ZUN

理学療法士 × 脳腫瘍グレード3サバイバー

医療者として、そして患者として、両方の視点から脳腫瘍と向き合う方とそのご家族に、少しでも安心できて役立つ情報を届けられるように心がけています。

理学療法士(国家資格・2016年取得)/糖尿病療養指導士
脳卒中・整形外科・消化器・血液内科などのリハビリに従事
研修修了:呼吸器・がんリハビリ

手術・入院・リハビリ・退院後の生活を、臨床知識と実体験ベースでお伝えしています。

📅 1. 脳腫瘍の入院期間はどれくらい?

👨🏼‍⚕️

手術あり(開頭術)

2〜4週間 が多い

術前検査1〜2日+手術後の回復・リハビリ期間を含む

🔬

生検・小さな腫瘍・経過観察

数日〜1週間

腫瘍が小さく合併症がない場合は比較的短期間

合併症・リハビリが必要な場合

1か月以上 〜 転院も

麻痺・高次脳機能障害があると回復期病棟への転院も

💡 「平均はあるけれど、人それぞれ」が正直なところです。腫瘍の種類・大きさ・脳の場所、手術方法や時間、合併症の有無(高次脳機能障害・運動麻痺・意識レベルの変化)によって大きく変わります。退院の見通しは主治医に遠慮なく確認してください。

🔍 2. 手術前の入院と行われる検査

多くの場合、手術の1〜2日前に入院します。この期間は手術の説明を受けたり、体調を整えたりする時間でもあります。主な検査は以下のとおりです。

🧲 MRI検査(造影MRIも)

腫瘍の位置・大きさ・周囲のむくみ(浮腫)・悪性度の推定。手術計画の核心となる検査。

🩸 MRA検査(脳血管撮影)

腫瘍と脳血管の位置関係・出血リスクを確認。手術中の血管損傷を防ぐために重要。

💉 血液検査

貧血・炎症反応・腎機能・肝機能・電解質・血糖・凝固能など、手術の安全性を確認する一般的な項目。

🫀 心電図・CT検査

心電図は不整脈・手術耐久性の確認。CTはMRIと同様に腫瘍の評価や術後出血の確認にも使用。

😷 麻酔科診察

全身麻酔の方法・気管挿管のリスク・アレルギー確認。覚醒下手術の場合は詳しい説明も。

📋 インフォームド・コンセント(説明と同意)

手術方法・リスク・術後の予想される変化について医師から詳しい説明を受け、同意書にサインをします。

🏨 3. 手術後の回復の流れ

手術後は、体の状態を慎重に確認しながら段階的に回復を進めます。以下は一般的な流れですが、個人差が大きい点はご承知おきください。

⏱️ 手術当日〜1日目

ICU(集中治療室)またはHCU(高度治療室)で経過観察

・バイタルサイン・神経症状(意識・麻痺)を集中的にモニタリング

・術後MRIで手術結果・出血・浮腫の状態を確認(術後48時間以内が推奨)

・状態が安定していれば、術後数時間〜1日でリハビリ評価が始まることもある

⏱️ 術後2〜3日目

ベッドから起き上がる練習・一般病棟へ移動

・ベッドアップ(頭を起こす角度を徐々に上げる)から開始

・端座位(ベッドに腰かける)練習・車椅子移乗

・車椅子に乗れる状態になれば、ICU/HCUから一般病棟へ移ることが多い

⏱️ 術後3〜5日目

歩行練習・日常動作の回復

・理学療法士とともに歩行練習を開始(状態が良ければもっと早い場合も)

・尿道カテーテル抜去後、自分でトイレへ行く練習

・頭痛・ふらつき・体の動かしにくさが残る時期。転倒に十分注意

⏱️ 術後7日目前後

抜糸・リハビリ継続

・手術の創(傷)の抜糸(多くの病院では術後7日前後)

・病棟内を自立して歩けるようになることを目標にリハビリ継続

・病理検査の結果が出始め、追加治療(放射線・薬物療法)の方針が決まる時期でもある

⏱️ 術後2〜4週間

退院・または回復期病棟への転院

・多くの方が手術後2〜4週間程度で自宅退院

・麻痺や高次脳機能障害が残る場合は、回復期リハビリテーション病棟(他の病院)への転院も

🧑‍⚕️ 4. 脳腫瘍のリハビリはいつ・何をする?

脳腫瘍手術後のリハビリは、術後24〜72時間以内の早期開始が推奨されています(日本集中治療医学会ガイドライン)。早い段階から体を動かすことで、回復を助ける効果が期待できます。

リハビリの内容は身体の状態・障害の種類によって異なり、主に以下の3種類の専門職が関わります。

🦵 PT(理学療法)

・起き上がり・座位保持の練習

・歩行練習・バランス訓練

・運動機能の評価

・転倒予防指導

・筋力強化・体力回復

✋ OT(作業療法)

・手・腕の動きの練習

・食事・更衣・トイレなど日常生活動作(ADL)の練習

・高次脳機能障害の評価(注意・記憶・遂行機能に障害が残ること)

・書字・作業活動の訓練

🗣️ ST(言語聴覚療法)

・言葉の理解・表現の練習(失語症)

・嚥下(飲み込み)機能の評価・訓練

・コミュニケーション障害へのアプローチ

・読み・書き・計算の評価

💡 全員が3つのリハビリを受けるわけではありません。麻痺や嚥下障害・言語障害がない場合はPTのみ、またはPTとOTなどとなります。必要なリハビリの種類は、術後の神経学的評価に基づいて決定されます。

🏠 5. 退院の目安とその後の生活

📋 退院のための一般的な基準

✅ 術後の主な合併症(発熱・感染・出血・けいれん)がコントロールされている

✅ 手術の傷が良好に治癒して抜糸が済んでいる(多くは術後7日前後)

✅ 新たな神経症状の出現・悪化がない

✅ 最低限の日常生活動作ができる(トイレ・食事・室内移動手段の確保)

✅ 退院後の通院スケジュール・サポート体制が整っている

すべての基準を完全にクリアしていないと退院できないわけではなく、病院ごと・患者さんの状態ごとに判断が異なります。「いつ退院できますか?」と担当医や担当セラピストに積極的に確認してみてください。

🏃 退院後もケアは続きます

🏥 外来通院(定期MRI)

🧘 外来リハビリ(後遺症があれば)

☢️ 放射線治療

💊 薬物療法(テモゾロミド等)

🏠 訪問リハビリ(必要時)

🧠 高次脳機能リハビリ

💡 体調には個人差があります。「同じ脳腫瘍なのに、あの人はもう〇〇できているのに…」と比べないことが大切です。焦らず、自分のペースで少しずつ回復していくことが、長い目で見て最善の道です。

🩺 ZUN体験談|脳腫瘍サバイバー × PT

「術後1日目、起き上がるだけでこんなにふらつくのか」と驚きました

私は術後1日目から運動機能の評価、ベッドへの端座位練習、そして5mほどの短距離歩行練習をしました。理学療法士として普段は患者さんの起き上がりを介助していた私が、いざ自分が当事者になると…。

普段起き上がりを手伝う側だった私でも、1〜2日寝ているだけで「こんなにふらつくものか」と思いました。特にベッドに腰かけた瞬間、身体が勝手に後ろへ倒れるような感覚があり、起き上がること自体が怖くなりました。

これは廃用による筋力低下・バランス機能の低下が短期間で起きるからです。PTとして頭でわかっていても、体で感じると本当に驚きます。だからこそ早期のリハビリ開始と、転倒への十分な注意が大切なのだと身をもって実感しました。

❓ よくある質問(FAQ)

Q. 入院中、家族はどのくらい付き添えますか?
A病院・病棟・時期によって大きく異なります。一般病棟は面会時間内の訪問が基本ですが、ICU/HCUは制限が厳しいことが多いです。手術当日や術後早期は付き添える場合もあるため、事前に病棟看護師に確認を。
Q. 手術後、どのくらいで歩けるようになりますか?
A合併症がなければ術後3〜5日目から歩行練習を始めることが多いです。最初はPTの介助つきで短距離から。早期離床は廃用症候群(寝たきりによる筋力低下)の予防に有効です。麻痺がある場合は時間がかかります。
Q. 入院中、仕事の連絡は取れますか?
A術後数日は集中治療下で連絡は難しいですが、一般病棟へ移ればスマホ・PCの使用が可能な病院がほとんどです。ただし疲労や頭痛で集中力が低下しているため、重要な判断は避けて。傷病手当金(療養中に加入健康保険から支給される制度)の申請は早めにMSW(メディカルソーシャルワーカー:医療費や仕事、退院後のことについて相談できる病院の専門職)へ。
Q. 退院後、どれくらいで日常生活に戻れますか?
A個人差が大きいですが、退院後1〜3か月で日常生活の多くが戻る方が多いです。ただし放射線・抗がん剤治療が続く場合は疲労感が長引きます。フルタイムの仕事復帰は3〜6か月が目安。担当医・産業医と相談しながら段階的に。
Q. 回復期病棟への転院ってどんなとき?
A麻痺・高次脳機能障害・嚥下障害などで集中的なリハビリが必要と判断された場合に転院します。転院期間は最長で半年程度。MSW・主治医・リハビリスタッフが一緒に判断・調整してくれます。「自宅退院は不安」と感じたら早めに相談を。
Q. 入院費用はいくらくらいかかる?
A脳腫瘍手術の総医療費は数百万円規模になることもありますが、健康保険+高額療養費制度で月の自己負担は所得区分に応じた上限額まで圧縮されます。組合健保の付加給付金でさらに軽減も。手術前に「限度額適用認定証」(事前に健康保険組合で発行してもらう書類)を必ず取得を。

📝 まとめ

📌 この記事のポイント

・入院期間は手術ありで2〜4週間が目安。生検なら数日、合併症ありで1か月以上のことも

・術前検査はMRI・MRA・血液・心電図・麻酔科診察などの複数項目

・術後はICU→一般病棟→リハビリ→退院の段階的な流れで回復を進める

・リハビリは術後24〜72時間の早期開始が推奨。PT・OT・STの3職種が関わる

・退院後も外来通院・リハビリ・放射線・薬物療法などケアは続く

・体調には個人差。他人と比べず、自分のペースで回復を

不安な気持ちを抱えている方も多いと思いますが、医療スタッフに遠慮なく質問しながら、一歩ずつ回復を目指していくことが大切です。きっと親身に寄り添ってくれます。ZUNも同じ道を歩いてきました。

📖 参考文献

1. 山田慎一. 「脳腫瘍周術期の管理」. Jpn J Rehabil Med. 2019;56:609-612.

2. 日本神経腫瘍学会. 「脳腫瘍診療ガイドライン 成人脳腫瘍編 2024年版」.

3. 国立がん研究センター がん情報サービス. 「脳腫瘍〈成人〉 治療」. https://ganjoho.jp/

4. 日本集中治療医学会. 「集中治療における早期リハビリテーション 〜根拠に基づくエキスパートコンセンサス〜」. https://www.jsicm.org/

5. Hakkinen K, et al. “Early mobilization in postoperative glioma patients” Scientific Reports. 2025.

6. “Rehabilitation of Adult Patients with Primary Brain Tumors” PMC. 2020.

7. 国立がん研究センター 希少がんセンター. 「リハビリテーション」.

⚠️ 本記事はPT(理学療法士)でもある脳腫瘍サバイバーZUNが、自身の体験と医学的知識をもとに作成した情報提供記事です。医学的情報提供を目的としており、診断を確定するものではありません。詳細な内容は主治医・医療スタッフとご相談ください。

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ZUN
🩺 理学療法士|脳腫瘍サバイバー|長野県在住 2016年に理学療法士の国家資格を取得し、総合病院の急性期病棟で 脳卒中・整形外科リハビリを担当(糖尿病療養指導士/呼吸器リハ研修・がんリハ研修修了)。 2024年、悪性星細胞腫グレード3を発症。手術・放射線・化学療法を経て 現役で職場復帰。「医療者の知識」と「患者の実体験」の両方から、 脳腫瘍患者さんとご家族の力になる情報を発信しています。 詳細プロフィールは👇https://zunsyuyotaiken.com/profile/