前頭葉の仕事とは?ダメージを受けるとどうなる?をやさしく解説

これらは前頭葉のはたらきと関係していることがあります。
前頭葉は思考・判断・運動・言語・感情を司る、いわば「人間らしさ」の中枢です。
- この記事でわかること:前頭葉の位置と構造
- 思考・運動・言語・感情のはたらき
- ダメージを受けたときに起きやすい症状
- 当事者ZUN自身の体験(右前頭葉腫瘍サバイバーとして)
- 日常生活への影響と機能回復の可能性
🧠 前頭葉はどこにある?位置と構造
前頭葉は脳の最も前、額のすぐ後ろに位置する脳葉です。4つの脳葉(前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉)のなかでも最も大きく、脳全体の約3分の1を占めています。
前頭葉は大きく分けて「前頭前野」「運動前野」「一次運動野」の3つの領域から構成され、それぞれが異なる役割を担っています。
左右ではたらきが異なります。左前頭葉には言葉を発するためのブローカ野があり、右手足の運動も司ります。右前頭葉は左手足の運動を担い、感情や空間的な処理に関わります。脳腫瘍や脳卒中では、どちら側の前頭葉に病変があるか・どの領域に影響が及ぶかで症状の出方が大きく変わります。
💡 前頭葉の主な役割
⚠️ 前頭葉にダメージがあると起きやすい症状
- 計画が立てられない・物事を順序立てて進められない
- 感情の起伏が激しくなる・急に怒りやすくなる
- 言葉がうまく出てこない・話す言葉が少なくなる(ブローカ失語)
- 反対側(多くは左)の手足が動かしにくくなる
- やる気がなくなる・無気力になる
- 注意が散漫になる・集中力が続かない
- 性格が変わる・以前と違う振る舞いをする
🩺 PT・サバイバー視点:右前頭葉腫瘍を経験して
このブログを運営している私自身、右前頭葉に悪性星細胞腫グレード3と診断されました。前頭葉という、まさにこの記事で解説してきた「人間らしさの中枢」に腫瘍があった経験から、お伝えしたいことがあります。
術前、最も恐れたのは「性格が変わってしまうかもしれない」ということでした。リハビリ職として、前頭葉病変の患者さんが穏やかだったご家族から見て「別人のようになる」ケースを目の当たりにしていたからです。手術前夜、妻に「もし違う人になっても、家族を大切にすることだけは忘れないようにする」と話したのを覚えています。
術後、補足運動野の近くだったため、左手足の指先の機能が著しく低下しました。握ったものを離せない、目を閉じる指示を守れない——そんな自分を見て、リハ職としての知識が逆に「焦り」を増幅させた日々がありました。
また、退院後しばらくは 感情のコントロールが難しい 日が続きました。些細なことでイライラする、急に涙が出る——これも前頭葉の機能が回復していく過程の症状だと、今は理解できます。「治っていく途中のサイン」と捉え直すことで、自分も家族も気持ちが楽になりました。
🏠 日常生活への影響と工夫
- 仕事・家事:複数の作業を同時にこなせない/優先順位をつけられない
- 会話・人間関係:思ったことをそのまま口にしてしまう/空気が読めない感覚
- 感情面:些細なことでイラっとする/急に涙もろくなる/無気力
- 運動面:反対側の手足の細かい動きがぎこちない/字が書きづらい
- 計画面:旅行や買い物の段取りが立てづらい/予定を忘れる
💡 工夫のヒント:「To Doリストの徹底活用」で計画機能を補う/「6秒ルール」でイラっとした時は6秒待つ/家族には「これは前頭葉の症状」と共有しておく。環境を整えることが、機能回復の最大の助けになります。
💪 機能回復の可能性とリハビリの考え方
前頭葉の症状は、神経可塑性(しんけいかそせい)により、リハビリで改善が見込めます。私自身、術後1週間で退院の目処が立ち、その後の数ヶ月で徐々に手足の機能・感情のコントロール・計画力が戻ってきました。
具体的なリハビリの方向性:
① 運動機能の回復:ゴルフボール・ビー玉・粘土で指の細かい動きを訓練(私が実践した方法)
② 遂行機能の訓練:To Doリスト・カレンダー記入で計画力を鍛える
③ 感情調整:呼吸法・有酸素運動・睡眠の質改善で扁桃体の安定を促す
④ 言語機能(ブローカ野):音読・声に出す日記・会話の意識的な練習
大切なのは「焦らないこと」。前頭葉の回復は数週間〜数ヶ月単位で進みます。「昨日できなかったことが、今日できた」という小さな積み重ねを、本人と家族で大切にしてください。神経可塑性の仕組み も参考になります。
🚨 こんな時はすぐに受診を
- 急に片側の手足が動かなくなった(脳卒中の可能性)
- 突然、性格や言動が大きく変わった
- 強い頭痛とともに、計画や判断ができなくなった
- 新しいけいれん発作・意識消失が起きた
- 家族から見て「いつもと違う」と感じる行動が続く
📝 まとめ
- 前頭葉は4つの脳葉のうち最も大きく、脳全体の約3分の1を占める
- 前頭前野・運動前野・一次運動野の3つの領域からなる
- 思考・判断・感情・運動・言語(話す)を担う「人間らしさの中枢」
- 左前頭葉にはブローカ野(話す言語中枢)がある
- 一次運動野が反対側の手足の動きをコントロールする
- ダメージで計画・感情・言葉・運動に症状が出やすい
- 神経可塑性により、リハビリで改善する可能性が十分にある
- 「治っていく途中のサイン」と捉え直すと、本人も家族も楽になる
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- MSDマニュアル家庭版.「部位別にみた脳の機能障害」. msdmanuals.com
- Johns Hopkins Medicine. “Brain Anatomy and How the Brain Works.” hopkinsmedicine.org
- NINDS. “Brain Basics: Know Your Brain.” ninds.nih.gov
- Kolb B, et al. “Neuroanatomy, Cerebral Cortex.” StatPearls. NCBI. NBK537247
- Afifi AK, et al. “Anatomy, Central Nervous System.” StatPearls. NCBI. NBK542179
- Kleim JA, Jones TA. “Principles of experience-dependent neural plasticity: implications for rehabilitation after brain damage.” J Speech Lang Hear Res. 2008. PMID:18230848
- 国立がん研究センター がん情報サービス「脳腫瘍(成人)」. ganjoho.jp











