脳は場所によってそれぞれ役割が異なります。

その中でも 前頭葉 は「人間らしさ」に深く関わるとても重要な部分です。

考える、判断する、感情をコントロールする、計画を立てる、言葉を話すなど、日常生活の多くの行動に関係しています。

脳腫瘍や脳卒中、外傷などで前頭葉にダメージが起こると、身体の麻痺だけではなく「性格の変化や注意力の低下」などがみられることがあります。

この記事では

  • 前頭葉はどこにあるのか
  • 前頭葉の役割
  • ダメージを受けたときの症状

について、医療の専門知識がなくても理解できるように解説します。

前頭葉はどこにある?

前頭葉は「脳のいちばん前」にある部分です。

顔で言うと「おでこの裏側」(眉毛からおでこと頭頂の境目くらい)の範囲です。そのため、医学的に前頭部にある脳ということで「前頭葉」と呼ばれます。

前頭葉はどんな仕事をしている?

前頭葉は会社でいう社長のような存在です。

社長が

  • 会社の方針を決める
  • 社員に指示を出す
  • 問題を解決する

のと同じように、前頭葉は

  • 行動を決める
  • 判断する
  • 体に指令を出す

といった仕事をしています。

具体的には下記の通り大きく4つです。

① 思考・判断(実行機能)

前頭葉は

  • 物事を考える
  • 計画を立てる
  • 問題を解決する

といった 思考活動の中心 です。

例えば

  • 仕事の段取りを考える
  • 今日の予定を整理する
  • 問題を解決する

このように、物事を考えながら順序立てて行動することを得意とします。

② 感情のコントロール

前頭葉は「感情の調整」にも関係しています。

感情自体は大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)という、脳の奥深くの場所から生み出されています。

この生み出された、感情(怒りや不安、欲など)をコントロールし、社会生活に適した行動を取れるようにしています。

前頭葉がうまく働くことで

  • 怒りを抑える
  • 相手の気持ちを考える
  • 社会的に適切な行動をする

といった人間らしい行動が取れるようになります。

③ 行動のコントロール

前頭葉は 行動のブレーキ の役割もあります。

例えば

  • 思ったことをすぐ口に出さない
  • 衝動的な行動を抑える
  • 周囲の状況を考えて行動する

こうした「自制心」に関わる働きです。

④ 体を動かす指令(運動野)

前頭葉には運動野という部分があり、脳とは反対の体を動かす指令を出しています。

例えば

  • 右の脳は左の手足
  • 左の脳は右の手足

と言うように交差して指令を出しています。

また、多くの人の左の前頭葉には、ブローカ野と言う「発語」に関わる場所があります。

前頭葉がダメージを受けるとどんな症状が出る?

前頭葉にダメージが起こると、次のような症状がみられることがあります。

① 性格の変化

以前と比べて

  • 怒りっぽくなる
  • 無関心になる
  • やる気がなくなる

など 性格が変わったように見える ことがあります。

これは前頭葉の感情コントロール機能が低下するためです。

私も前頭葉腫瘍のためか、怒りっぽくなっていました。

② 注意力の低下

前頭葉が障害されると

  • 集中力が続かない
  • ミスが増える
  • 同時に複数のことができない

といった 注意機能の低下 が起こることがあります。

今だに複数のことを同時に行うのは苦手です…

③ 計画を立てるのが苦手になる

前頭葉の働きが低下すると

  • 物事の段取りを考えられない
  • 作業の順番がわからない
  • 複雑なことができない

など 実行機能障害 が起こることがあります。

④ 意欲の低下

前頭葉の障害では

  • 何もしたくない
  • 自分から行動できない
  • 一日中ぼーっとしている

といった 意欲低下(アパシー:無気力/無関心) が見られることがあります。

⑤ 片側の手足の麻痺

前頭葉は左右交差して運動を司るため、障害されると

  • 右または左の手足が動きにくい(脳と反対側)
  • 歩きにくい

などの「運動麻痺」が起こることがあります。

両側の脳が障害を受けると両方とも麻痺を受けます。

⑥失語症(言葉が出にくくなる)

人の前頭葉には大半の人が左側にブローカ野と言う発語に関わる場所(口、舌、唇、喉)の動きを調整する場所があります。

そのため左の前頭葉が障害を受けると

  • 舌が動かない
  • 唇が閉じない
  • 言葉が出ない

と言う症状が現れます。

まとめ

前頭葉は脳の前側にあり、次のような重要な役割を担っています。

  • 思考や判断
  • 感情のコントロール
  • 行動の調整
  • 体を動かす指令

そのため前頭葉にダメージが起こると

  • 性格の変化
  • 注意力の低下
  • 意欲の低下
  • 計画が立てられない
  • 手足の麻痺
  • 言葉が出ない(運動性失語)

など、日常生活に影響するさまざまな症状が現れることがあります。

しかし、適切な リハビリテーション によって改善が期待できる症状も多くあります。

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